ドラマ正直不動産の第八話『信じること』……なるほどねえ、そういう意味でのサブタイトル『信じること』だったのね、と視聴後には頷いてしまいましたね。
あと、嬉しい誤算、という訳ではないんですが。第六話で登坂不動産を去った市原隼人演じる桐山貴久がこれほど早く再登場するとは思いませんでしたね。
引用 大谷アキラ 夏原武 水野光博/小学館
漫画版では藤原課長の謀略もあり、退社する運びとなったのですが、ドラマ版ではミネルヴァ不動産の鵤によって、悪評を流されることを恐れた桐山が退社した、という流れになっています。
そんな桐山が不動産取引流通協会の懇親会で永瀬、月下とバッタリと再会するんですが―それにしてもドラマ版の月下、本当にコメディ寄りだなぁ(笑) お腹ならしてモンブラン食べたい、なんて(笑)
さらには、ここで人脈を広げるべく、名刺配ってこいという永瀬の指示で、どうにか名刺交換をすべく『登坂不動産の月下と申します』を掛け声に何度も名刺交換をしようとしていた際に、
月下『登坂不動産の月下と申します』
桐山『知ってる』
というやりとりはついつい笑ってしまいました。
『自分の名前連呼して選挙演説か』という皮肉は、変わらず元気そうと言うか、ドラマ版の桐山は漫画版とは違って口が悪いと言うか皮肉屋みたいな感じですが、これはこれでアリかなぁ。
渋谷の3億の土地の売買を取りまとめたのも桐山だ、というところからしても、ドラマ版でも漫画版同様不動産ブローカーとして独立して働く桐山は、漫画・ドラマ、どちらもすこぶる優秀な模様。
で、先述の懇親会で知り合ったバイロイト不動産の堀内という方を知人の不動産営業から紹介されたのですが、この堀内という人物が持ってきた案件が高井戸の土地。300坪もあり、環状八号線に高井戸インターにも近いという好条件。
この案件に手土産を持っていくことを永瀬から月下は任されるんですが
『手土産一つで客の心は変わる、それくらい手土産は重要なファクターだ』とのたまうのは我等が大河部長ことシソンヌの長谷川忍さん。
『ちなみにかつて俺も顧客の手土産のためにオホーツク海まで蟹を取りに行ったことがある』
笑っちゃう、そこまでする?
月下も『え? そこまで』と言っているのが笑いに拍車をかけます。
『だが安心しろ! この手土産の鬼と呼ばれた俺が、選んでやるっ!』
ありがとうございます、と礼を述べる月下に、大河部長は元気よく両腕を振り、スキップでも刻むかのように走り出します(笑)
『ついてこい月下!』
『部長っ!』
『手土産は客の心を変えるぅ!』
『部長! 勉強になりますっ!』
いやぁ、月下演じる福原さんもニコニコ笑いながら良いコントやるなぁ(笑)
そして、高井戸の土地300坪を保有するけやきの興業(漫画版では井の頭興業)と手土産の豆大福を持って交渉に向かうんですが、ここでも永瀬の毒舌不動産が炸裂してしまいます(笑)
けやきの興業『倉庫の土地は固定資産税がバカになりませんし、正直なところ、借金があるので』
永瀬『お察しします……がぁ、要は売れるもんは売れるうちに売っ払って会社赤字のまま畳んで債権者に泣いてもらおうってことっすよね』
その後の月下の無理矢理なフォローというか、口塞いでそのままトイレに連れて行くのも含めて面白い(笑)
ただ、こんなこと言って普通、取引しようとは思わないはずなんだけどなぁ(笑)
この交渉の後、月下は光友銀行の榎本さんに呼び出され、永瀬についちぇ根ほり葉ほり聞き出すのですが、いやぁドラマ版の榎本さん良い意味でぶっ飛んでるわぁ(生暖かい目)
『私、永瀬さん狙うことにしたから』と月下に宣言するまでは、まだ良いでしょう。
『そういうのって宣言することですかね?』と聞く月下。
『あったの中学の時。私が同じクラスの正樹君好きになって、仲いい友達に相談してたらいつの間にか横取りされて。それ以来、私は
好きな人が出来たら、取られないように周りに宣戦布告しているの』
いや、あの榎本さん?! そんな身振り手振り交えて熱弁ふるって、さらには月下の言質を録音までして取ったのはもう怖くて笑えて来るよぉぉ(泣)
まぁ、この辺りは残り二話でどのように転がるのか楽しみではありますが、永瀬のことだからねえ。
原作でだって女性関係は、榎本さんが一度アプローチをして『へば』と断ってからは、女性は関係の話は原作では一切ありませんからねえ(笑)
で、問題のけやきの興業との交渉では、ミネルヴァ不動産の横やりが入り、坪単価200万で購入する、となったことで、一度会社に話を持ち帰ることとなるんですよね。
原作でも同じ感じで話が展開し、坪単価180万~190万で交渉するよう指示をされるんですよね。
で、実際に交渉に行くと、坪単価200万でミネルヴァは買うと言っているんです、とけやきの興業からは言われるんですが、その額では撤退せざるを得ない、と永瀬は言うんですよね。
他には入金を早くする、手付金の額がミネルヴァ不動産より条件を良くする、などもあったんですが―『撤退せざるを得ない』と入ったあ途端に態度が変わるんですよね、けやきの興業の二人。
こうなってくると、ちょっとでも確証が欲しい、情報が欲しくなるのが人情というもの。
ドラマ版でも漫画版でも、永瀬は桐山と連絡して、何か情報がないか聞くんですよね。
で、その時の桐山の回答が、ドラマでも漫画でも一緒だったんですよね。
引用 大谷アキラ 夏原武 水野光博/小学館
『似合わないスーツを着た人達とは仕事をしたくない』
まさかそういう観点で為人を見ていたとは、けやきの興業の面々も考えなかったでしょうね。
けやきの興業の人達と直接会っているはずの不動産屋にも赴いて聞いてみた際に、月下は粒あんの大福を持って行って、粒あんが好き、みたいなニュアンスのことをけやきの興業の人が言っていたのですが、永瀬と月下が会った不動産屋は、けやきの興業の方が持ってきた菓子折りは饅頭で、二人で粒餡よりこし餡、という話題で盛り上がった、という話も出てきたこともあったのでしょう。
諸々の情報が重なり、疑心暗鬼に陥った永瀬は、けやきの興業の面々に、
『確かに、仮登記をすればもう安心……なんて一ミリも出来る訳ありません! 以前デベロッパーを騙した連中も、相手を安心させるためにその仮登記を行ったんでしたよね。そんな手垢のついた手法を猿真似したらバレますよ。っていうか、こうやって犯罪の手口をパクるのは何罪になるんでしょうか? 貴方達、本当は―地面師なんでしょう!』
こうブチ撒けた後の山下さんの虚無の表情がスゴイ(笑)
そして六億七千万がパァーだと崩れ落ちるシソンヌの長谷川さん、土下座大福なるものを購入してくる福原さん(笑)
いや、あそこのシーンは演技じゃないような気がしなくもない(笑)
実際にこの正直不動産の地面師絡みのエピソードは、現実に積水ハウスが騙された案件を参考にして造られたお話しなんですよね。
ちなみにこの積水ハウスの地面師絡みの事件では、地面師の手法が巧妙だった、と言うよりは積水ハウスの担当者の応対がまずかった、と言われているようです。
最後に、ちょっとしたエピソードが出てきます。
登坂社長にまつわるエピソードなんですが―過去に登坂社長は、住元不動産という、大手の企業に勤めていたのですが、地面師に騙されているんですよね。
正確には、登坂社長は怪しんでいたのですが、上司が引っかかってしまい、その責任を押し付けられたのです。この辺りの流れも、漫画と同様ですね。
微妙に異なるのは、マダムからその話を聞いた永瀬が、社長に会いに行き、ある質問を投げかけたこと。
本当は今回、彼等が地面師だと気付いていたのではないですか、と永瀬は問い、さらに、どうして自分にこの案件を任せてくれたのか、と問いを重ねます。
これに登坂社長は、
『お前、あの時、相手を信じると言った。だから私もお前を信じた。地面師に騙されたとしても、永瀬を信じた私が責任を取ればすむことだ』
ビッグボス、と言いたくなるような発言。
原作とは異なりますが、こういう登坂社長もアリかなぁと思った第八話でした。
さて、残り二話で、鵤と登坂社長との因縁がどのようになるのか、見物です。
あ、榎本さんの恋愛がどのように発展するのかは、何となく予想がつくのであまり興味がありません(爆)