本日は山本崇一郎氏の『それでも歩は寄せてくる』のアニメ化を祝して記事を書いて行こうと思います。
引用 山本崇一郎/講談社
『それでも歩は寄せてくる』は、週刊少年マガジンで2019年14号から連載されている将棋部を舞台とした、田中歩と八乙女うるしの高校生活を描いた学園ラブコメディになります。
そもそもの発端というか始まりは、ツイッターのアカウントにおいて山本崇一郎氏が不定期に、1話4Pの形式で投稿していた漫画が原案となっている模様。
山本崇一郎先生の代表作と言えば『からかい上手の高木さん』でしょう。2021年の9月の時点では累計発行部数が1000万部を超えているヒット作で、16巻まで刊行されています。
つまり、からかい上手の高木さんをゲッサン(月刊少年サンデー)で連載しながらツイッターで『それでも歩は寄せてくる』の原案みたいな漫画を投稿していたことになり―漫画描くことが好きあんでしょうね、山本崇一郎氏(凄い)
中学生の同級生である『西片』と『高木さん』とのやりとりが描かれたラブコメディであり、高木さんによる『西片』へのからかいを軸とした作品ですね。こちらの作品のキャッチコピーは『照れたら負け』。普通に、『それでも歩は寄せてくる』でも使えそうなコピーですな(笑)
山本先生、ラブコメディが得意なんでしょうね、『それでも歩は寄せてくる』もラブコメディですので。
『それでも歩は寄せてくる』は前述した通り、将棋部におけるラブコメディでして、高校一年生の田中歩君(男子)と、高校二年生の八乙女うるしのやりとりが中心となって展開される作品でして―キャッチコピーは「この恋、詰むや詰まざるや……?」になります。
具体的に言うと、クソ真面目でやたらと素直な歩君によって、翻弄される純情な先輩、八乙女さんというのが基本構図です。
おそらく、シンプルな絵柄であることも要素の一つとしてあるのでしょうが、この基本があるから『からかい上手の高木さん』とも並行して連載出来ているのではないでしょうか。
週刊連載をしながら月刊の連載もするなんて、普通なら出来ないと思う、ハード過ぎます(泡)
ここでは『それでも歩は寄せてくる』で、田中歩と八乙女うるしの二人がどのような感じでイチャイチャしつつコメディを展開してくれるのか、いくつか例をあげてみましょう。
まず、記念すべき第一巻の一話目からいきましょうか。
将棋の対戦をしているシーンから入るのですが、2P目からいきなり田中君がグイグイと歩み寄ります(笑)
引用 山本崇一郎/講談社
『すごいですね センパイは……こんなに将棋が強くて』とうるしセンパイを、持ち上げる歩君。
『そのうえ そんなにカワイイだなんて』と真顔で爆弾投下(爆)
うるしさん、あまりの爆撃ぶりに『んあっ?!』と奇声をあげてしまいますが、無理もありません(笑)
そこから一コマをわざわざ使って、歩君がコマを動かし、パチン、と音をたてて、二人とも何も言わないシーンがシュールさを増幅させます。
リアルではこんな真っ向から切り込む男子高校生なんて数えるほどもいるかどうか(笑)
たまらず、うるしセンパイ『……お前 私のこと好きだよな』と問いかけるものの、歩君は目を逸らしながら『何を言っているんですか』とシラを切ったので、『だって私しかいない将棋部入っているし』『将棋何も知らなかったし』と揺さぶりをかけますが、歩君は『将棋したかたっんで』と平然と返します。
メンタルが半端ねえよ、歩君(笑)
『私のことかわいいって言うし!』と半ば怒りながら突っ込むうるしセンパイに、
『かわいいんで』とナチュラルに切り返す歩君。
歩君、もう止めてあげて! うるしセンパイのHPは連載開始4Pにして瀕死よ(笑)
何を言っても認めないつもりかと痺れを切らしたうるしセンパイ、戦術を変更し、
引用 山本崇一郎/講談社
『私のこと好きって認めたら 抱きしめてやるぞ』
と誘惑路線に変更ぉぉぉぉっ!
顔を赤くしながらも、年上の魅力で歩君のポーカーフェイスを崩してやると企むうるしセンパイですが、歩君の鉄面皮は全くと言っていいほど崩れないっ! 傍目にはノーダメージにしか見えないっ!
これではダメージにはなり得ないかと見て取ったうるしセンパイ、顔を赤くし、自らは恥ずかしさで大幅にHPを削られながらも何とか攻撃に出ます。
恥ずかしさをこらえながら、
引用 山本崇一郎/講談社
『チュ……チューも……してやっても……いいぞ……?』
と顔を赤くし目を逸らしながらもどうにか追撃をしかけますが、ああ無情、歩君、淡々と答えてしまいます。
引用 山本崇一郎/講談社
『センパイ 集中したいので静かにしてもらえますか』
本当に無情ぉぉぉぉぉぉっっ!
両手を広げて顔を赤くして精一杯誘惑したうるしセンパイ、撃沈っっっ!
しかし、実際の所はかなり危なかったらしく、歩君、もう少しで認めてしまう所だったと内心で汗をかいています。
歩君がうるしセンパイを好きだと口にはしないのは、単純な理由がありまして、
『告白するのはセンパイに将棋で勝った時と心に誓ったんです』
おぉぉ、純情だな歩君。
そんな純粋な歩君、センパイに恥ずかしい思いをさせてしまったことを申し訳なく思い、
『この一局……キッチリ勝たせてもらいます』と勝利宣言しつつ、勝つことでうるしセンパイに告白しようとする歩君。
歩君でも待ってくれ、これではうるしセンパイが単なる自意識過剰なセンパイになってしまうだけだぞ(笑)
ほらうるしセンパイ、腕を広げたまま顔を真っ赤にしているじゃないの、涙目だったりプルプル震えてるページもあるぞ、完璧に自分が滑ったことに気付いているぞセンパイ、その辺気付いてやれよ歩君っ!(笑)
鉄面皮で『キッチリ勝たせてもらいます』なんて言っている場合じゃないぞと読者から総突っ込み待った無しっ!
もううるしセンパイのHPは瀕死どころかゼロよ、だから追い込まないであげて歩君……(泣)
あーあ、言わんこっちゃない、うるしセンパイ、
『勝たせるかバーカ! これで終わりだ』って王手かけちゃったじゃない……『そ……そんな手が』なんて言っている場合じゃないぞ歩君(笑)
こんな感じで、第一話目から全開で歩君がうるしセンパイにこれでもかとグイグイ強気に寄せてきており、それに対してオタオタするうるしセンパイ、という構図になります。
実は両想いだとは、うるしセンパイも歩君も気付いているだろうに、片や自らに課した誓いから、かたや恥ずかし等の感情から互いに確認することが出来ません(爆)
なんだろうこの面白い生物たち、末永く爆発してしまえ、と思える作品です。
私の書いた紹介記事で思えなかったのであれば、それはただ単純に私に『それでも歩は寄せてくる』の面白さを伝える表現力が欠如しているに過ぎませんので、まだ山本崇一郎氏の『それでも歩は寄せてくる』を読んでいない方は、第一話を読んでから判断をして頂きたい次第です。
何も考えずに、ぷぷぷ、と口を押えて笑いたい、ストレス解消したいという方にはオススメ。
こんな具合にうるしセンパイに対し、グイグイと無意識に加えほぼ無表情で無慈悲なまでにひたすら攻撃一辺倒な爆撃専用機の歩君ですが、将棋においては『守りの方が性に合ってるので』と言っておりまして、これは剣道でも同じようなんですが、二話目までのやりとりを見ていると説得力皆無だよ歩君、絶対君、Sだろと言いたくなります(笑) その辺りもツッコミどころが満載の作品になります。
こんな感じのラブコメディjが『それでも歩は寄せてくる』になりますので、まだ読んでいない方は是非ご一読を。
2022年の7月にアニメ化されるので、それまで期待して待っていて下さい。
うるしセンパイと歩君の二人の掛け合いはぷぷぷ、と笑うこと間違い無しですので。