ドラマ正直不動産の第七話『昔の自分今の自分』の感想ですが……これって、ものの見事にこの件が影響してしまった話だったんではないかと思いました。
中島課長……だったのかなぁ? 当初は『瀬戸健一課長』だったのではないかなぁと思うんですよ。
引用 大谷アキラ 夏原武 水野光博/小学館
最初は第六話で登坂不動産を去った桐山についての回想を挟み、ミネルヴァ不動産のスパイは誰だったのか、というところから話が始まりました。
登坂社長から呼び出された永瀬は社長室で『例の件、片がつきそうなんで伝えておこうと思ってね』と切り出され、永瀬が『例の件ってスパイのことでしょうか?』と答えた後は、永瀬演じる山下智久さんのナレーションを中心に、これまで登場している鵤、花澤を交えた回想シーンを出していました。
中島課長に対し、進学資金で困っていた彼の弱みにつけ込み、登坂不動産の内情をスパイさせていたんですが。
中島課長の写真、成績表ででしか出てこないんですよね。
鵤が対面しているシーンも、花澤がお金を渡すシーンも、渡した中島課長の顔は一切映されていないので―おそらく、編集で対応したんでしょうね。
スケジュール的に再撮影ができない、という出演者がいる以上、これまでに撮影された材料をうまく加工、編集し、再撮影が出来る人員でどうにかシーンをもう一度撮影して対応したのでしょうか? この辺りは完全に推測でしかないですがね。
登坂社長の『永瀬、新しい課長が決まるまで課長代理頼む』という台詞と月下の『課長の仕事って大変だったんですね』という台詞が悲しい。
二人の発言が、ちゃんとした出番も役処も、瀬戸健一課長にはちゃんとあったのだろうことを伺わせます……漫画でも幸薄い役処だったけど、ドラマでは存在そのものを抹消されてしまうとはort
降板した事情を考えれば、木下氏に同情の余地は一切ありません。
ただただ、趣味で物書きをしている個人的な趣向で、正直不動産という作品の、瀬戸健一課長という登場人物が気の毒になってしまう、というだけの話です。
さて、話を本編に戻しますが、まず今回は永瀬以外にも笑い処が結構あったんですが、光友銀行の榎本美波さんの台詞がウケました。
『うちの会社コアコンピタンスがコモディティ化されて今のデファクトスタンダードな時代にオポチュニティマネジメントをオルタナティブな形でやっているんです、ってもう何語だったつうの』
隣の席の女性行員が途中から笑っているの、アレ、素じゃないですか(汗)
いや、本当にどういう意味? マジで日本語? あ、ちなみに原作では榎本さんがこのようなカタカナ発言を行ったことはありません、ドラマオリジナルです。
あとは、大河部長演じるシソンヌの長谷川忍さんと月下咲良演じる福原遥が商談後に食事をするんですが、月下さん、原作には無いくらいこの娘さん、迂闊というよりメンタル激強と言うか、考え無しというか……
月下『部長ってそんな顔して意外と甘党だったんですね』
月下『けどぶっちゃけ私、部長のことなめてました』
月下『今日の商談の進め方見て見直したって言うか、フッ、私てっきり社長のコバンザメだとばっかり』
そりゃ失礼なことばかり言っていると、大河部長に怒られてテーブル叩かれるわ(笑)
そして、大河部長の過去も語られましたね。
高校中退で登坂不動産に入社したそうですが、あのティッシュ配り、誰も受け取らないだろうなぁ(汗)
あとは大河部長、離婚歴があり、離婚の慰謝料を登坂社長が建て替えたことも判明(笑)
いや~、第六話がシリアスな話だったから、永瀬も月下も大河も榎本も、主要な登場人物の大半がコメディ寄りの演技でしたね。
ペラ瀬発言も面白かったし(笑)
まぁそもそも漫画では大河部長がマスコット的な立ち位置ですからね。
引用 大谷アキラ 夏原武 水野光博/小学館
そして榎本さんの要請で藤崎さんのお宅に伺うと永瀬さんを出汁にして、4巻の『リバースモーゲージ』のお話しで出てきたキラキラ長寿の営業トークが炸裂するんですが、その際の榎本さんの心の声も面白かった。
でもやっぱりこのドラマ版の正直不動産の肝は毒舌不動産―じゃなくて、全部正直に言ってしまう永瀬があってこそ。
榎本『私は、ご自宅を売却するより、こちらの商品をオススメ致します。永瀬さんもそう思いませんか?』
永瀬『そうですね【メインバンク相手にNOなんて言える訳ないとわかってるくせに!】もちろん私もこちらをオススメ』
ここまで言ってから、もう口を塞いでトイレにでも行くかのように永瀬は振舞っておきながら、風が吹くたびに何度もドアを開け閉めし、榎本さんも藤崎夫妻も何があったのかという感じでオドオドしているのがオモロイ(笑)
そして『永瀬さんありがとうございます』と言った時の泉里香さんの、目玉をギョロっとさせるの、おっかねぇ(笑)
あ、あと榎本さんが『行ぐわげねぇべ』と言うのですが、その後に月下が『秋田弁出ちゃいました? それ、めっちゃ怒ってます』と後に永瀬に喋っていますが―
ちょっと待った。秋田弁?
引用 大谷アキラ 夏原武 水野光博/小学館
当方、青森県出身ですが秋田にも6年ほど住んでしましたから、『行ぐわげねぇべ』とは青森でも秋田でも言われるでしょうが、前回の榎本さんが祖母と喋っていた言葉は津軽弁だと思っていたんですが……確かに、へば、って言うのは青森でも秋田でも言うから、秋田弁でもあるのか……地味にショック(何が)
それに、この回は大河部長もそうですが、永瀬の過去についても語られていましたね。
登坂社長が永瀬を悪徳不動産屋から救った任売のお話ですが、これはほぼ原作通り。
これをきっかけに、登坂不動産で雇ってもらえないかと永瀬から持ちかけるのも原作通り。
宅建やらファイナンシャルプランナーやらの資格をとって登坂不動産に入社するのも同じ。
そう、漫画原作でも最初からライアー永瀬だった訳じゃなくて、
『客に感謝され、なおかつ金も稼げる。不動産屋、最高かよ』と心中で考えており、この辺りは忠実に原作をなぞっていますね。
あと、登場人物の過去、という点では登坂もマダムと話している最中に話をしており、こちらは原作通りなのか、あるいは原作とは違う因縁があるのか、現段階では不明ですが想像力をかきたてられますね。
花澤は鵤に恩があるようなことを書かれていましたが、地獄から救い出した、ってこれはさすがに原作とは違うのかな?
そして、過去が語られたのは周りのキャラのみではなく、主人公である永瀬もです。
登坂不動産に入社する前は真っ当だった永瀬が、ライアー永瀬と呼ばれるようになった理由については詳細に語られましたね。
この辺りは漫画原作よりも丹念に描かれたのではないでしょうか。
でも『まず、その時の営業トップの人を完コピした。スーツ、靴、時計、髪形、全部真似した』これって、やっぱり神木? と思ってしまいました。
第一部で神木が登場するのは話数的lにもう無理かなと思いますが、第二部があるとすれば神木が登場するんじゃないかなとちょいと期待しています。
でも、完コピしても一位にはなれなかった永瀬、考えに考え抜いた結果、あることに気付きます。
客を人だと思わないこと。
そうすれば情も湧かない、数字のことだけ考えてウソをついても、詐欺スレスレのことをしても心が痛まなくなった。
結果、永瀬は営業成績一位をGETするようになったのでした……
色々と登場人物の過去のことを深堀していた回だったと思うのですが、全十回で話が終わる事を考えると、話が終局に向かう回なのは前回で、今回は終局へのスパートが始まったのかな、という印象でした。
しかし榎本さん、あれだけのことをされて永瀬に異性として興味を持つのを通り越し、好意を持つのは―うん、ドラマだなぁと思いました(笑)
そして次回は地面師のお話ですかぁ、桐山の再登場はあるのかな?