可愛いだけじゃない式守さんのアニメ化が決定し、2022年4月から放送予定です。放送局は未定、監督は伊藤良太、シリーズ構成は成田良美、製作は動画工房。
『可愛いだけじゃない式守さん』を知らない方のために、手短に情報をまとめていきましょう。
『可愛いだけじゃない式守さん』は、講談社のマガジンポケットで連載されている(毎週土曜更新)、真木蛍五先生の作品。
引用 真木蛍五/講談社
当初はツイッターに投稿されていた4Pものの短編漫画で、1巻に収録されているものの7話まではこの形式です。
しかし連載を続けていくうちに変化を加えようと設定を色々と足していったところ、ページ数も増加していき、現在の形に。
2020年の10月の段階では、直近1年間で最も重版がかかった単行本第1巻となっており、読者の熱い支持がある作品で、2021年4月時点での累計発行部数は210万部とされており、今は11月ですのでこれがどこまで伸びているのか興味深いところ。
でも、この作品がどうしてそんな大量の重版がかかるほど受けたのか……
言ってしまうと身も蓋もないのですが……理由の一つが、キャラクターの魅力でしょう。
スト―リーとしては、他のラブコメでもよくよく見かけるようなものであることは否めないかと思います。主人公の和泉くんとヒロイン(ヒーローではなくて? という式守さんの読者の声が聞こえてくるかもしれませんが、ここはヒロインということで)はすでに男女の恋仲になってはいますが、恋愛漫画の主流とも言うべき、話数を重ねるごとに仲が深まっていくスタイルで、1巻から10巻まで読んで見た所、二人の仲がこじれそうだとか破局しそうだとか、そういうハラハラドキドキするシーンはありませんね。
甘々な恋愛漫画、かつ二人の周りにいる友人も実に良い人達で、見ていてハラハラドキドキするようなシーンは、私が見ている限りではありませんでした。そういう、読んでいてもストレスのかからないストーリーというのも、読者に受けた要因の一つかもしれません……が、真木蛍五先生の描く、不幸主人公×カッコカワイイヒロインがとにかく魅力的だった、というのが最大の要因だと思います。
引用 真木蛍五/講談社
こんなイケメン彼女いたら惚れてまうやろ(爆)
だってねぇ……ヒロインの可愛いを前面に押し出した恋愛漫画は数あれど、ヒロインのカッコいいを前面に押し出した恋愛漫画というのは、記憶に無いんですよね。
いや、Fateのセイバーや遠坂凜もカッコいいヒロインではありますが、あれは伝奇ものであり、恋愛要素はあれど、メインではありませんし、少なくとも自分が読んできた範囲では、ヒロインのカッコよさを前面に押し出した恋愛漫画、というのは知らないんですよね。
ヒロインである式守さん、最初期の頃はイケメン顔で終わるのがお決まりだったんですが―結構何て言うか式守さん怖くない? とも思うお顔も多々あったんですが―そう感じていたのは自分だけではなかったのだと、ウィキペディアを見てちょっとだけ安心しました。
以下、ウィキペディアより抜粋
『1巻の頃は式守の「キメ顔」から殺意がにじみ出ていた』
殺意(笑)
いや、確かに滲み出ていたかもしれません、和泉くんに対する式守さんの愛情という名の殺意(笑)
引用 真木蛍五/講談社
どうです、なんかゴル〇13に出てきそうな感じじゃないですか(笑)
これみたら下手な殺し屋よりも式守さんの方が迫力ありますよ、マジで……スナイパー式守、アサシン式守で売り出してもマジで売れそうなのがちょっぴり怖いですね……
こういう、可愛いだけではない、殺意滲み出ているカッコいい系ヒロインという、とんでもない爆弾を恋愛ジャンルに投げ込んできた真木蛍五先生ですが、先生のキャラクター造形攻撃はこれに留まらなかったんですね。
不幸系兼メンタル激強子犬主人公という危険物を、少年漫画にぶちこんできやがったのです(爆)
引用 真木蛍五/講談社
いや、ラッキーマンに登場していた追手内洋一(ついてないよういち)とか、とある魔術の禁書目録(インデックス)の主人公、上条当麻とか不幸系のキャラクターはいますが……恋愛漫画で不幸系主人公っていただろうか? いや、その時々で、どうしてこんな悪いことばかり重なるのだろうか、というシリアスな展開でなら結構みかけますが、『可愛いだけじゃない式守さん』の主人公和泉くんの場合、日常生活からしてスゴイのです。
車のサイドミラーにバッグが引っかかり、巻き込まれそうになる(式守さんが助けてくれる)
どこからともかく黒板消しが飛んでくる(式守さんが庇う)
新聞紙が顔面目掛けて吹っ飛んでくる(式守さんがブロック)
高所から看板のネジが緩み落下(式守さんが手を引いて回避)
スキー場に行った際にはスキー板が折れ、リフトは故障。コースから外れたのは個人的不運と一概には言えないと思うので却下。
体育の時間にバスケットボールが顔面直撃は和泉くんがドジな部分もあるのでこれも同様に却下。
髪に隠れて普段は見えませんが、こめかみの辺りに傷があり、これは幼少期にトラックが家にぶつかった際に出来たモノ。
教室内でクラスメイトが豆まきをしており、和泉君が教室の戸を開けた瞬間、顔面に、豆がヒットしそうになる(式守さんがブロック)
桜の枝が何の前触れもなく突然折れ、折れた枝が頭部に直撃。
高校の受験表が風に飛ばされて木の高い所に引っかかる(式守さんが取ってくれた)
家に式守さんを誕生日パーティに招待した際、母親が落としたトングにフォークが引っかかり、フォークの先端部が頭部へ向いた形で降り掛かる(式守さんがブロック)
以上、一巻で和泉くんに降り掛かった不幸です(爆)
いや、式守さんのブロック率半端ない(汗)
まぁ、これ見ただけでも男前な彼女だと思うでしょう。
しかしこんなに不幸が降り注げば、普通はいじけてしまったり世を儚んだりしてしまうのですが、そこは主人公、和泉くん、基本的にメンタル激強です。
話がちょいと変わりますが、こちら、式守さんのお母さんです。
引用 真木蛍五/講談社
こんな目力が強烈な人に、娘さんと付き合っています、と正面から言える男子高校生がどのくらいいるか。
でもメンタル激強不幸系子犬主人公である和泉くんはしっかり目を見据えて喋るのです。
引用 真木蛍五/講談社
主人公や、和泉ん~♪
周りから、式守さんなんでもっとイケメンと付き合わなかったんだ、と言われたり、不幸体質の地味メンと言われたり、和泉へたれだしな~、と言われても気にしているのは式守さんであり、和泉くんはあまり気にしていないのも納得の強さですな。
この他にも、和泉くんの不幸体質を承知の上でブロックしてくれる、サボるの大嫌い、自分に素直な犬束君、式守さんから、自分ともう一人の友人である八満さんが信用する大事な友人であると告げられる、人懐っこく泣き上古の猫崎さん、ほとんど表情が動かず、時にアメーバみたいな形に溶けていることもある、マイペースな八満さん、と個性的な友人が揃っています……時々、個性が行き過ぎているんじゃねえのコイツ等、と思う事もない訳ではありませんが(汗)
でも、彼等彼女等が、揃いも揃って良い奴等なんだよなぁ(ほろり)
類は友を呼ぶとは言いますが、和泉くんが良い子だから良い奴等が集まるんだろうなー。
『可愛いだけじゃない式守さん』 がアニメ化されるくらい売れた理由の二つ目、見ていて癒される作中の人間関係。
作中に鯨里歌(いさなりか)という人物が出てくるのですが、彼女、オマケの漫画で、犬束君と以下のようなやり取りをしています。
鯨『……バイトかけもちしてるんだって? 欲しいものでもあるの?』
犬『俺 獣医になりたくて 下二人いるしできるだけ学費稼ぎたいんスよ』
鯨『獣医……かっけぇじゃん』
犬『でしょ』
鯨『堂々と言えるのもね』
犬『……鯨さんは全然言わないっスよね』
鯨『君の大好きなお友達みたいに いい人ばかりじゃないんだよ』
犬『……そういうモンなのかなぁ』
鯨『……君の夢はお友達に言ったの?』
犬『あー……言ってないっスけど……アイツらは 笑わないですよ』
いや本当、漫画の世界だというのはわかっているんですが、こういうのを見て、羨ましく思う人間関係を疑似体験したい、というのも人気が出た要因の一つなんだろうな、と強く思います。