リコリス・リコイル。
これを日本語に訳すると、二つのパターンが出来ます。
まず、リコリス。
これは、日本語で彼岸花を意味していますので、リコリスは彼岸花をそのまま直訳して大丈夫でしょう。
別名、曼珠沙華(マンジュシャゲ)。
引用 A-1 Pictures/アニプレックス
学名では、【リコリス・ラジアータ】とも呼ばれます。
ラジアータ―ってどこかで聞きませんでした? そう、DAのAIを統括するシステムのようなもの。
でも、ここではそんな重要な知識ではないので省略していきます。
彼岸花の情報として、原産地が中国であること、秋の彼岸である9月頃に、鮮やかな赤い花を咲かせ、秋の終わりに葉が伸びて翌年の初夏に枯れることがあげられますが……この辺が、どうにも千束の未来を暗示しているようでちょっと怖くなります……
が、ここも千束の将来を暗示している可能性はあっても、他にも暗示しているシーンなり歌詞なり結構あるので、今さらでしょう。
彼岸花で重要な情報は、以前にもこの記事で書きましたが、地下の球根に強い毒性を有すること。
そして、有毒植物ではあるのですが、以前は救荒作物として鱗茎のデンプンを毒抜きして食べられていた、ということも書いています。
【グッドエンディングを想像するのであれば、リコリスという毒を抜くことで、人を殺すことなく治安を維持する組織に生まれ変わる、という暗喩なのかとも思うんですが、何を毒とするかで解釈が全く異なってくるんですよね】
私はリコリスを毒として解釈して先程の記事を書いたんですが……
【毒を抜く、という対象がリコリスではなく、千束だったらどういう解釈になる? 抜く……心臓を抜き取る、なんて流石にないよな……だが心臓に何からの制限をかける、くらいは第八話の様子から判断しても有り得そうだし……あるいは救荒作物としてではなく、あくまで『毒』としての暗喩だったら、人工心臓に手を加えることで、千束の人格を変えてしまう、とか……】
と、色々と想像を巡らせておりました。
第八話の結果は、人工心臓に再充電ができなくなる、寿命の制限でした……
で、今回のお話しになる、リコリス・リコイルの【リコイル】の方面から解釈を加えることで、結末の予想ができないか、想像してみました。
リコイルには、大まかに二つの意味があると私は考えています。
まず、銃器にあるリコイル、という作動方式からの意味。
ショート・リコイル、ロング・リコイルというものがあり、反動利用式の中で最も広く使用されている作動方式がショート・リコイルになります。
引用 A-1 Pictures/アニプレックス
弾丸を発射する際には、銃身とボルト(銃の基部にある部位の名称。 薬室への弾薬の装塡及び撃発、後部へのガス漏れの閉鎖、発射後の空薬莢の排除等を行います。遊底、という名称でも呼ばれます)が結合された状態のままで、反動によって後退します。
この後退の途中で、閉鎖が解除されることによって銃身が停止し、遅れてボルトが停止するまでの間に抽筒・排莢が行われる。
これが、何故『ショート・リコイル』と呼ばれるかと言うと、ボルトの後退途中、比較的短い距離で閉鎖が解けるためですね。
逆に『ロング・リコイル』と呼ばれる方式は、作動は同じく反動利用式なんですが、ボルトが停止するまで銃身と結合されたままなんですね。
閉鎖を解いたのち、前進開始に時間差が発生する形で分離するのが『ロング・リコイル』
いや、正直言うと私も銃に詳しくないので、かなり付け焼刃(汗)
まぁ、リコイルの意味の解釈をするためですから、付け焼刃でもこの際構わない……
で、弾丸を制御することは「リコイル制御」や「リコイル・コントロール」と表現されますが、リコイル・コントロールするためにはリコイルの向き、大きさを把握し、さらにはこれらに合わせて照準操作を行う、連射せず、単発で撃つといった様々な工夫が必要なのですが、ここから先は、まぁ解釈を行うためには必要のない知識でしょうからバッサリカットしましょう。
リコイル、とは作動方式の一種、というのが一つの意味ですね。
もう一つは、単語としての意味で『はね返り』や銃砲の『反動』を意味する単語。
他にも退却する、尻込みする、委縮する、などの意味もあるんですが、彼岸花の退却、なんてなったらBAD ENDの意味になりますし、尻込みや委縮なんてもっての他でしょう。
そうなってくると、『反動』の意味で解釈するのが良いでしょう。
で、リコリス・リコイルのリコイルは、作動方式の一種であるリコイルと、『反動』のリコイルのダブルミーニングではないのかなぁ、と思っています。
ダブルミーニングで【彼岸花の反動】
……うん、でもこれだけではわからん(汗)
となってくると、今まで私がリコリス・リコイルを見てきた中で、消化不良、あるいは私が解釈していたものとは、意味が異なっている伏線はないか再度洗い出してみたところ、一つ、私が行った解釈の意味が異なるのではないか、と思う伏線を見つけました。
これです。
2話の最後でくるみ救出後、千束がくるみに抱き着いていた際、後ろからたきなが輪ゴムで狙撃したシーン。
この輪ゴム狙撃、千束は例の回避能力で避けますが、後ろにいたくるみに当たるんですよね。
私はコレ、何かを暗示している気がする、と書いたのですが、これを見た私は、【過去】にその焦点を持っていきました。
が、第九話時点では、吉松シンジが心臓に疾患を持っていた千束を救うことで【救世主】扱いし、その行いに憧れをもったことから千束は不殺を志すようになったので、色々と【過去】に何かあったのでは、という私の想像は、まぁ全部外れましたな(泣)
声優の予想だけでなく、考察・結末の予想も外れ……ヨヨヨヨヨ(号泣)
まぁ、外れたらまた予想するんですけどね(ケロリ)
で、【過去】に予想したものがないのであれば、その反対軸である未来にあるのではないか、と考えるのは至極真っ当な考えでして。
でも、千束が咄嗟に回避能力を発揮することで、誰かを犠牲にしてしまう、というENDになったら、どう考えてもBAD END、しかも視聴者の気分もよろしくない、ブーイングの起こり得るBAD ENDです。
そんな私でも推測できることくらいは、脚本を担当したアサウラ氏も、足立慎吾監督も承知しているでしょう。
なら、どのように話を展開するか……となると……
千束はその『殺しの才能』とされる回避能力を用いて、あえて銃弾の射線に割って入り、たきなを守る。
リコリス・リコイル【彼岸花の反動】
引用 A-1 Pictures/アニプレックス
人知れず悪人を抹殺すべき少女が、仲間を守るために己の命を盾に守る。
結果、リコリスから毒が抜かれ、人を積極的に殺すような組織、隠蔽体質がある組織から生まれ変わる……のではないかと思うんですがどうでしょう?
これ以上のリコリスとしての【反動】、私には中々思いつかないんですが、そうなってくるとますます千束の生存可能性がなくなっていくジレンマ……
この作品は考察したり、監督さんの立場にたって推測すると、容赦なく悲劇の方向に振り切れそうで色々と辛い……
お願いですから、喫茶リコリコの面々で最後には笑ってハッピーエンドになる展開を希望します。