ドラマ化する正直不動産のフルコミ社員 黒須圭佑のキャスト(俳優)は誰?

唐突ですがフルコミッション、という言葉を聞いたことはあるでしょうか?

フルコミッション、略称フルコミ。日本語で言うと、完全歩合制。

引用 大谷アキラ 夏原武 水野光博/小学館

会社によって事務費用の扱いやトラブルの後処理などの面で違うことも有り得ますが、売れなければお給料がゼロになることはどこの完全歩合制の会社でも共通しているはず(そうでなければ完全歩合制とは言えないので)

例として、2022年4月にドラマ化される正直不動産に登場する、主人公永瀬財地が所属する登坂不動産の場合をあげてみましょう。

登坂不動産の場合、固定給22万にプラスして、ノルマを超えて初めて歩号給が発生するようです。

ちなみに私が過去に所属していた営業の仕事では、ノルマに達していなくても、成約に至った額によって歩号給が支払われるシステムでしたので、この辺りは当然のことながら、会社によって違ってきます。

登坂不動産のノルマが月に売り上げ100万。家賃10万円の物件を10回成約させると、ノルマ達成ですね。

そして、ノルマを超えた売上げに対して支払われる歩合給は15%。

売り上げ200万を達成した場合、ノルマ100万で、残り100万に歩合給が支払われる訳で、15万の歩合給が発生する計算です。

フルコミッション、完全歩合制の場合ですと、これがまるまる貴方のポケットへ! ……という訳ではありません。

全額フルコミの人にお金が入ったら、それじゃ会社が儲かりません(泣)

なので、100%、というのは無い……無いはず。売る事、売り上げをあげることが目的でなければ有り得るでしょうが、少なくとも私は知らないです。

で、完全歩合制の給料形態は契約する会社によって異なってきまして、永瀬の話では50%くらいが一般的とのことですが、登坂不動産の場合だと60%になります。

ですので、登坂不動産の正社員で売上げ200万を達成した場合は、固定給22万に歩合給15万が支払われて合計37万になります。

これがフルコミッションの場合ですと、60%支払われるとのことなので、200万の売り上げの6割、120万が支払われることになります。

これだけ聞くとフルコミ、いいじゃんと思うかもしれませんが、経費は基本的に個人負担。名刺はもちろん自前で用意、営業車も持ち込みになりますし、ガソリン代だって自分で負担、パソコンを使う仕事ならこちらも自分で用意しなければなりませんし、登坂不動産の場合は、固定電話の使用は1本10円、ファックスやコピーも1枚10円。

契約後に発生したトラブルの後処理も全部一人でやらないといけません。

ハイリスク・ハイリターンな給料形態、と言って良いでしょう。

このような給与形態をした社員が、四巻で登坂不動産にも加わります。

引用 大谷アキラ 夏原武 水野光博/小学館

黒須圭佑、出で立ちは浅黒い肌に特徴的な髪形、高級車を乗り回し、机に案内してくれた月下にコナをかけ、サシでの飲みでは高級そうな時計が目につく、ともう自らの営業能力で人生生きてきました、と言いたげな登場を果たしたキャラクター。

実際、彼の営業能力は相当なものであり、10カ月連続で登坂不動産のトップを張っています。

しかし、その営業手法は褒められないものが多く、ウソがつけなくなったが故に正直に営業をするようになった永瀬とは対極的。

例えば、AD物件。

アドバタイズメント 広告料を意味しますが、貸主や管理会社がなるべく早く借主を探したいので、広告料という名目の紹介料を不動産会社に支払うことで、借主をすぐに見つけて貰おう、というン物件の名称です。


登坂不動産の場合、このAD[物件は借主から仲介手数料は取らないのですが、黒須が営業をすると、書類に細工をし、お客さんには広告料があたかもないように見せることで、紹介料をせしめているのです。

ただ……『褒められない』と言いましたが、黒須はちゃんと上司に『AD物件であろうと、仲介手数料を取ってはならない決まりはない』ことを確認した上で、そういう細工をしていた訳です。

顧客と誠実に向き合うべきだと語る永瀬に『綺麗事言うんじゃねえ。稼いでなんぼだろ』と真っ向から対立する黒須。

もっとも、永瀬にも落ち度がなかったのかというと、まぁ登坂不動産の側から見れば、会社の評判を落とすようなことをしている訳ですから、問題ナッシングとは到底言えない訳ですが……

そもそも、永瀬も後に黒須に謝罪しているのですが、法や会社の規則に触れている訳でも無いのに、人の営業スタイルに文句をつけるのはご法度です。

引用 大谷アキラ 夏原武 水野光博/小学館

ただ黒須も、正面から謝罪にきた永瀬に興味が湧いたのか、自らの身の上話をしはじめます。

登坂不動産はフルコミで七社目であること、成果を出すために乱暴な営業をしているのは重々承知していること……悪評が立てば、別の場所へと渡り歩く、渡り鳥みたいなものだと。

綱渡りみたいな毎日のせいで、睡眠薬がなければ寝付けないほど彼は己を削って仕事をしています。

ただ、永瀬と腹を割って話したからでしょうか、永瀬の目標、希望である『正直な営業で客を満足させ、かあつ、会社にも社会にも貢献し、自分も金銭的に潤う。そんな三方良しな営業マンになってなれるんじゃないかってな』という言葉を聞いた黒須は、

引用 大谷アキラ 夏原武 水野光博/小学館

『……青すぎる。一度フルコミやってみろよ。そんな軽く地、二度と叩けなくなる』とは言いつつも、その表情はどこか羨ましそうなものにも見えなくもありません。

これだけガツガツと稼ぐことに執着した社員の登場によって、登坂不動産の売り上げは上がっていくのですが、8巻で再登場した際には、永瀬とのナンバーワンの一騎打ち、という状況でお話しが開始。

黒須は8カ月連続でナンバーワンを達成しますが、毎月、永瀬との差が縮まってもきており、周囲には明るく振舞っているものの、トイレでは体調の悪化からか吐いています。

医者の診断では過度のストレスと過労から自律神経のバランスが崩れている、とされており、無理な営業が祟っているのは黒須自身よくわかっている有様。

しかも、正直に営業していた永瀬は客が客を呼び始める好循環が始まったのに対し、黒須のスマホにかかってくるのはクレームばかり。

ただ、永瀬は呪いと言うかたたりと言うか、ウソがつけない故に、支払い能力に疑問が残る方に対しては、購入を見送るようアドバイスを送っていました。

引用 大谷アキラ 夏原武 水野光博/小学館

それを後ろの席で聞いていた黒須は、このお客さんを掠めとるように、悪く言えば唆し、良く言えばその気にさせて、成約をもぎ取り、9カ月連続でナンバーワンを達成。

これを非難する永瀬ですが、不測の事態が起きても登坂不動産にデメリットはない、という黒須の論と、

「永瀬、おまえじゃ俺には永遠に勝てない。ざまあみろ!」

引用 大谷アキラ 夏原武 水野光博/小学館

との台詞の前に、永瀬は何も言えなくなります。

しかし、黒須がこの掠め取ったお客さんの奥様が入院したことで事態が急変、支払い能力の前提が根底から覆されてしまいますが、黒須が行った契約は、双方の合意が無ければ契約のキャンセルが出来ない、というものであり、これが仇になってしまいます。

お客さんの奥様は手術が必要な状態であり、彼女の介護にも時間が必要で、収入は半分以下になる、契約を解除させてくれと黒須に嘆願しますが、これは黒須一人の意向でどうにか出来る問題ではありません、契約相手がいますからね。

体調不良に苦しめられながら、どうにか出来ないかと奮闘する黒須の前に、まだ帰宅していなかった永瀬が声をかけたのですが……おそらく、黒須は相当切羽つまっていたのでしょう、

『じゃあタワマンには住めるが、誰かの不幸に目を瞑らなければいけないのと、タワマンには住めないが、誰かを救えるとしたらどっっちを選ぶ?』と問いかけています。

こんな問いを投げかけるくらいですから、黒須は永瀬のことを、彼なりに評価していたことがよくわかる質問です。

これに、永瀬はこう答えています。

引用 大谷アキラ 夏原武 水野光博/小学館

永瀬『はあ? 昔あったカレー味のウンコか、ウンコ味のカレーみたいな二択だな』

黒須『いいから、どっちだ?:』

永瀬『そんなもん、カレー味のカレーだ。誰だか知らねえが、そいつを救って、自分はタワマンに住めばいいじゃねえか』

と答えたのです。

この回答を聞いた黒須は、何か踏ん切りがついたのでしょう、母親に来月から実家の旅館の手伝いをする電話をします。

契約の解除には合意しない、と突っぱねられていた黒須でしたが、奥様が入院したお客さんのために、より高額で買ってくれる代わりの買い手をどうにか探し出すことで、契約解除に同意してもらうべく、契約相手に電話をしますが……

追い詰められたお客さんは、黒須の腹を、ナイフで刺してしまう、凶行に出てしまいます。

幸い、黒須の怪我は大したことがなく、脇腹を掠っただけでしたが、黒須は一身上の都合で登坂不動産を退社。

奥様が入院したお客さんは契約を解除できましたが、すでに支払った仲介手数料は戻ってきません。

黒須はこのお客さんに刺されたにもかかわらず警察に被害届は出しませんでしたし、見舞金だと言って、10カ月連続ナンバーワンを得た報奨金を、そのまま彼に渡しています。

退社する最後までナンバーワンであり続けた黒須ですが、その営業手法は褒められたものではなかったので、同僚から陰口を叩かれますが、これに永瀬が激怒していることからも、手法はともかく、一人の営業マンとして黒須のことを評価していたのも、永瀬だったのだと思います。

ちなみに、黒須が刺された際に見舞いに行ったのは永瀬ただ一人のみだったのですが、このことを黒須は後々、大変な恩義であると感じ入り、11巻で再登場を果たした際に、永瀬に見事な助け舟を出しています。

この話は、11巻を読んで貰うとして……黒須さんのやりきった笑顔で、黒須圭佑のまとめは終えましょう。

引用 大谷アキラ 夏原武 水野光博/小学館

こういう中々にキャラクターが立った永瀬の戦友、黒須圭佑のキャストは誰がふさわしいのか。

窪田正孝さんの演技力ならば、死に物狂いで成果を出そうとする黒須も、奥様が入院したことで契約をキャンセルしたいお客様のために動こうとする黒須にも、過度なストレスでトイレでゲーゲーと吐く黒須も演じきってくれるでしょう!

……ただ、窪田さんの演技が凄過ぎてデスノートのように逆に浮いてしまうリスクも、無い訳ではありませんが(汗)

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