ドラマ化、アニメ化がなされると、『あれ? このキャラの名前は何て名前だっけ?』ということが結構発生します。(私だけでは無いですよね?)
引用 大谷アキラ 夏原武 水野光博/小学館 ビッグコミック
四月にアニメ化するスパイファミリーなんか、アーニャが『じなん』と呼ぶキャラの名前がダミアン・デズモンド君であることがパッと出てくる方は結構いらっしゃると思いますが、ではその取り巻きであるエミール・エルマンとユーイン・エッジバーグ、どちらがエミールでどちらがユーインだと問われたら即答出来る方がどのくらいいらっしゃるでしょうか……
(正解は、おかっぱ頭に出っ歯で食いしん坊なのがエミール、特徴的な髪形をしているのがユーインです)
正直不動産に全然関係ない話題じゃないか、と言われるかもしれませんが、そういう名前があやふや、もしくは正式な名前が出ていないキャラクターと言うのは、『殺し愛』のインド君(アニメではジムと呼ばれているが)だけではなく、正直不動産にも一人だけ存在するからですね。
ちなみに、ミネルヴァ不動産に勤める西岡は名字出てきますが、未だに名前は出てきていません。
名前も名字も出てきていないにもかかわらず、彼女は一巻の第6直【店舗契約】の後編に初登場と、かなり早い段階で出てきているキャラクターなんですよね。
名前だけなら第六直の前編で永瀬が『あそこのオーナーはマダムと呼ばれてて、守銭奴で有名なんだぞ。』と月下に言っているシーンがあります。
引用 大谷アキラ 夏原武 水野光博/小学館
マダムに関してわかっていることと言えば、喫煙者であり、登坂不動産の社長である登坂寿郎とは長い付き合いであること、初登場の際に永瀬から、ご主人が二年前に亡くなり、多数の不動産を含む遺産を、血縁も、面識も無い一人息子と折半したこと。
その時から、とにかく金にがめつくなった、と永瀬は評しています。
この第六直では、月下の熱意溢れる、そして入念なリサーチがモノを言う回になったんですが……その辺りは一巻を購入して読んで貰うか、ドラマ化をお待ちいただきましょう。
ドラマ化されたらこのシーンも、どういう感じになるのか今から興味津々ですからね(笑)
次に再登場したのは、第四巻の第27直【地面師】の前編。
永瀬が店で会社の悪口を言っていたところ、飲み物を零して隣の客にかけそうになってしまったのですが、その時の客がマダムだった、という会社の悪口を言っていた永瀬からすると、顔が青くなる事態です。
話を逸らすため、永瀬はこの時、マダムに登坂社長との付き合いを聞くのですが、マダムの口から
『もともとは、大学のゼミの先輩後輩だからね』
という発言が出たため、永瀬はポロっと『登坂社長が大学の先輩なんですか。』とこぼしてしまいます。
『逆よ。私が先輩。』
引用 大谷アキラ 夏原武 水野光博/小学館
このマダムの発言に、永瀬、大混乱(笑)
まぁ、登坂社長より年上のようには確かに見えないよねえ(汗)
登坂社長が大手の住元不動産(モデルは住友なんじゃ……ゲフンゲフン)にいたことが本当なのか尋ねると、どういう人柄であったのかも話してくれるのですが、出世頭で、面倒見が良いことから人望も厚かった登坂寿郎が、何故大手であった住元不動産を退社することになったのかは、マダムは『自分で聞いてみたら?』と話しません。
マダム、口はかたいようです。
この後……ええ、27直のサブタイトルが【地面師】なので勘の鋭い方は、もうわかっているでしょうが……この27直は積水ハウス地面師詐欺事件をモデルにしており、永瀬は交渉途中で自分が騙されているのでは、と疑い始めますが―この事件がどうなるかは直接第四巻を見て貰いたいのですが、結論だけ言うと、永瀬は騙される寸前ではありましたが、詐欺にあうことだけは回避出来ました。
しかし、この月、地面師との交渉に全力を傾けていた永瀬は、売り上げが全然出せなかったため、どうしたものかと悩んでいると、マダムが隣の席にやってきて『一杯、ご馳走しましょうか?』と言い出すのです。
引用 大谷アキラ 夏原武 水野光博/小学館
永瀬が、たまたま金を振り込む前に、地面師だってわかっただけ、おかげで今月の売り上げは散々、いいことなんかない、と苦笑交じりに言うと、マダムは
『じゃあ、私がいいこと教えてあげましょうか。あなた……登坂社長が住元不動産を辞めた理由、知りたがってたわよね? あの人、地面師に引っ掛かったの』
と登坂寿郎の過去を語りだすのです。
登坂社長自身は上司にこの取引が怪しいと言っていたのですが、契約を締結、地面師と判明すると上司は登坂寿郎に責任をなすり付け、結果、彼は出世レースから脱落し、退社、独立し、登坂不動産を立ち上げるのです。
ちなみにマダム、永瀬は若い頃の登坂社長に、似ているという印象を持っています。
が、守銭奴、と言われているのもウソではなく、情だけで動く人もではないんですよね。
永瀬は親友が金策に困っている親友の物件を出来るだけ高く売るためにマダムの元を訪れた事があるのですが(第44直 【任意売却】)、この時のマダムの、永瀬への対応は、
『市場価格3900万の物件を、なんで4200万で買わなきゃいけないの?』
『悲運な友達の事情を話せば、私が情けで「その家買うわ!」と言うとでも思った?』
引用 大谷アキラ 夏原武 水野光博/小学館
と実にシビア。
『今日の話は、聞かなったことにしてあげるわ。帰りなさい。』
と言ってくれたのは、せめてもの情けでしょううか。
またこのマダム、登坂社長とは長い間、取引を続けてきた間柄ではありますが、登坂社長の怨敵、天敵であるミネルヴァ不動産の鵤聖也とも交流があるんですよねー。
このミネルヴァ不動産との取引で、マダムはこのように鵤に話しています。
『後悔って、やってしまったことじゃなくて、やらなかったことに対してすものよ。
私は、チャンスが来たら必ず手を伸ばすわ。』
と言うように、非常に強かな方でもあります。
もっともこの後、マダムは登坂社長に謝罪の電話を入れています。
この一件のせいで、永瀬はマダムに物件を売りたくない、買いたくない、と思うようになるのですが……現在、ビッグコミックで連載されている話では、マダム本人ではありませんが、彼女に関連した人物が登場しており、面白いことになっています(笑)
このように、強かで情だけでは動かない女性、年齢不詳本名不詳の謎めいたところのあるのがマダムというキャラクターなんですが、彼女を大地真央さんが演じることになっています。
大地真央さんは1973年、59期生として宝塚歌劇団に入団。宝塚歌劇団には1985年まで在籍しておりました。
1986年からは宝塚歌劇団を退団し、女優として活動を行っております。
しかし……大地真央さん、66歳なんですが、全然66歳に見えない(汗)
50歳前半、下手すりゃ40代後半と間違われることもあるんじゃね、と思うんですが、そういう美貌もあってか、年齢不詳のマダム役に選ばれたのでしょう。
もちろん、演技力は宝塚出身ですからしっかりとした土台があるでしょう。
ただ、このマダムの出番と言うのは、正直不動産の中ではあまり多くはないんですよね。
出演しているのが、6直、27直、44直、50直、と意外と回数が少ないんですよね(今、手元に13巻だけ無いんです……)。
この少ない登場回数で、ドラマ化された時に、マダムの登場回数が何度あるのか……あるいは、オリジナルのエピソードを突っ込んでくることで、出番を増やすのか、その辺りは見てみないと何とも言えない部分なのですが、円熟した演技力をお持ちの大地真央さんであれば、少ない登場回数でもインパクトを出せるだろう、という目論見で監督さんが起用されたと思うので、好演を期待したいと思います。