『錆喰いビスコ』祝アニメ化 放送日は1月10日から

この作品のアニメ化を待ち望んでいたラノベファンは比較的多いのではないでしょうか。

錆喰いビスコ。第24回電撃小説大賞銀賞受賞作、瘤久保慎司さんのデビュー作。イラストは赤岸Kさん。

宝島社刊行の『このライトノベルがすごい』の2019年版で総合、新作、両部門で史上初のダブル1位を成し遂げた作品。

引用 瘤久保慎司 赤岸K/電撃文庫

とりあえず、ざっとあらすじをまとめてみましょうか。

ある兵器の故障・暴走のために文明が崩壊した近未来の日本が舞台。

日本は荒野や砂漠ばかりの大地になっており、あらゆるものを錆び付かせてしまう『錆び風』のために、人体ですらその風によって錆びが発生してしまい、最終的には命を落としてしまう『サビツキ』に苦しめられていた。

『錆び風』の原因はキノコにある、と一般的にはみなされていたため、キノコの扱いに長じていたキノコ守りは迫害されたが、『錆び風』の原因がキノコにあるというのは真っ赤なウソで、治癒こそ難しいものの、『サビツキ』を抑制していた。

そのため、指名手配を受けようが罵詈雑言を吐かれようが、挙句の果てには襲い掛かられようが、錆の対策のために通りがかるあらゆる土地でキノコを生やしてしまうキノコ守りである赤星ビスコは、前述の理由で多くの騒動を引き起こしために『人喰い茸』として懸賞をかけられている。

そんな赤星ビスコの目的は、あらゆる錆びを浄化すると言われるキノコ『錆喰い』の発見である。

……という感じでまとめてしまうと、シリアスな世界観で、聖人君子のような主人公、赤星ビスコの苦難の旅なんだろうな、と思えてきてしまうから不思議です。

ちなみに先述したあらすじ、ウィキペディアを参考にしながら書いたんですが……いや、コレ、確かに間違っていないし大正解なんだけど、『錆喰いビスコ』という作品の空気が伝わってこない。

世界観はシリアスかもしれないけど、そんな悲壮感、ありませんから!

主人公の赤星ビスコ、悪党では絶対ないけど、聖人君子なんてものからは、かけ離れた粗暴な人物だから!

これは作者の瘤久保慎司さんが後書きで書いていることなんですが、滅んでいる世界が好きだ、と。

滅びの中にあるからこそ、そこで生きる人間の生命が輝くからだ、とどこかの大魔王ゾーマ様ちっくな台詞に続いて、こう綴っています。

『北斗の拳』の世界観に欠かせない『モヒカン』達が、とてもいい例だ。

彼らは勿論外道の悪人どもなのだけど、あの世紀末で、ただ己の欲望をむき出しにして、束縛も鬱屈もなく、今日も略奪行為に生き生きと汗を光らせている。

「ヒャッハー! 水だ!」とかいう希望の雄叫び! 三秒後にケンシロウになす術もなく殺されるのに、凄まじい前向きさだ。愚かで、弱く、不遇で……それでも生命のアクセルをベタ踏みにして世紀末を駆け抜け、死んでゆくモヒカン達の、善悪を超越した生命力の伸びやかさ、その刹那の輝きに、ある種の愛おしさを感じずにいられない。

あ、あの、瘤久保慎司さん、これは誰かに突っ込んで欲しくて後書きを書いていらっしゃるのでしょうか? あの『汚物は消毒だ~』とか言っているモヒカン達に、愛おしさを感じずにはいられない、と(汗)

引用 原哲夫 武論尊/集英社

瘤久保慎司さんは自らの執筆能力をもってすれば、あのモヒカン達ですら美点のある存在として描き切ってみる、というある種の向上心のために、無謀な挑戦を行ったのではないか、という穿った見方さえ、私は当初しました(滝汗)

が、「滅んでるくせに元気な世界だなあ、と思ってもらえれば嬉しい」と記されているので、生命力、というのが瘤久保慎司さんのテーマの一つだったのだと思うんです、決してモヒカン云々ではなく(苦笑)

なので、『錆喰いビスコ』に登場する人物は、主人公である赤星ビスコをは無論のこと、相棒である猫柳ミロ、ヒロインと言うには凶暴かつ強力に過ぎる猫柳パウー、ビスコの師匠であるジャビ、道中押し売りをしてくる大茶釜チロル、他、皆、その生命力をこれでもかと言わんばかりに見せつけてくれる作品です。

あ、モヒカン的な生命力をご所望でしたら、少々毛色が違いますが、悪役の黒革がその系統だと思いますよ。ヒャッハーっ! みたいに後先考えずに今を謳歌する、というのとは程遠いキャラクターですが、どんな手段を使っても自らの欲望を満たしてやるぜヒャッハーっ! っというイメージを私に抱かせているキャラクターなので、黒革は。

何より、忌浜(いみはま)マスコット、イミ―君と言う、うさぎに似た覆面を被せた配下と共に出現するその様は、悪役なのにシュールなギャグのようで、北斗の拳のモヒカンに類する笑いすら提供してくれると思う。

引用 瘤久保慎司 赤岸K/電撃文庫

どんだけ眼光鋭く睨んでも、あの覆面被った奴等がいると思うだけで中々笑いをこらえるのが難しいと思うよ、黒革さん。

もちろん、ちゃんと非道な所は非道に振舞うし、ビスコに敵対するところはどんな手でも使うから、ちゃんとシリアスになりますのでご安心を。

ちょっとは『錆喰いビスコ』という、世紀末的な世界を舞台にしているにもかかわらず、そこに生きているキャラクターは活力に満ちていることを察して頂ければ幸いです。

ですので、小説の方もやたらと勢いと言うかパワーが感じられる内容でして、細かく語ろうとするとそれこそ万の文字を使ってしまいかねません(私、明日仕事が早出なので早めに切り上げないといけないのにぃ~……)

そうですね、あくまでイメージ的な話で語るのであれば、理屈じゃねえんだ気力だ根性だ、と言えば何となくイメージがつかめるでしょうか?

実際、ビスコにミロだけでなく、パウーもジャビも、努力と気合と根性だ、みたいなシーンが多々ありますからね。

あ、一巻で言うと黒革だけ例外で、謀略と怨念と執念で勝ちを手繰り寄せようとするキャラです。

『オレも、お前と同じだ、赤星! お前が強くても、正しくても。はいそうですか、って、死ねねえのは! オレも同じなんだァ――ッ!』

どうですか、このモヒカン臭と言うか、雑魚っぽい印象の漂う台詞であるにもかかわらず、無意味なまでに生命力に満ち溢れている様は……

うん、アニメで津田健次郎さんが演じる黒革が私は今から楽しみで……いや、愉しみで仕方ありません(愉悦愉悦♪)

悪役の魅力も語ったところで、まとめに入ろうかと思います。

錆喰いビスコ。2022年1月10日より放送開始。

放送局は、TOKYO MXが1月10日より、毎週月曜24時30分から25時。

読売テレビが1月10日より、毎週月曜日25時59分から26時29分。

BS11が1月10日より24時30分から25時。

AT-Xが2日遅れて、1月12日より毎週水曜、21時から21時30分。なお、リピート放送が毎週金曜9時、毎週火曜15時から放送予定となっております。

なお動画での配信も決まっており、

ABEMAが最も早く、1月10日より毎週月曜24時30分から配信開始。

続いてdアニメストアが1月13日より毎週木曜24時30分より配信開始。

そして1月17日月曜日より、24時30分から配信開始になるサイトが、

niconico(ニコニコ生放送/ニコニコチャンネル)

GYAO!

ひかりTV

FOD

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となっております。

深夜の放送になっている放送局、配信サイトが多いので、録画をしてあとから見るのがメインになりそうですね。

しかし、何故『錆喰いビスコ』は深夜枠なのか。ストーリー的にヒーローの王道ものだと思うんですけどねぇ? まぁキノコばバンバン出たり、蟹に乗ったり、エスカルゴに乗って空飛ぶし、黒革はイミー君伴って出くるし……

どうです? 世紀末的な滅んでる世界だけど、面白そうだしやたらめったら元気がありそうな世界でしょ?

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