今回は原作の『錆喰いビスコ』の94Pから128Pまで、次回の放送分のプロローグとして137Pのスイカを見つけるシーンまでが第四話として描かれています。
しかし、黒革ではありませんが、なんなんだよ、蟹に乗るって、と言いたくなります……
まぁ、確かに第四話を見た後だと、『蟹に乗る』というタイトルはふさわしいもののように思えますね。
こうしてアニメ見ながら改めて原作の『錆喰いビスコ』を読み返すと、『浮き藻』について抜けがあったな、と思ったのが第一印象でしたね。
引用 錆喰いビスコ/電撃文庫 錆喰いビスコ製作委員会
でもこんな感じだったのね、『浮き藻原』って土地は。
途中、アニメオリジナルのやりとりが入っていましたが、うまく世界観を見させる展開になっているなぁと思いました。
しかし本当にこの『錆喰いビスコ』の一巻は世界観が良く練られていると感心してしまいますね。
兵器然り、植物然り、動物然り。
諸々の設定もそうなんですが、そういった設定をビスコとミロの二人が旅をすることで視聴者に、原作の場合は読者にわかりやすく提示しているのがいいですな。
最初はいきなり原作にはない、アニメオリジナルのシーンがあったので、尺に多少余裕があるのかな、とも思いましたが、第四話を全部見てから改めてもう一度見直せば、思い違いでしたね……あくまで個人的な予想ですけど、尺の余裕はそんなに無いのではないか、と思います。
最初のアニメオリジナルの挿入シーンは、ビスコとミロの馴れ初めではありませんが、相棒として活動していく上では欠かせないものだ、と製作班の方々が判断したのではないかと思います。
しかし、です。
ビスコの『油断してっと死ぬぞ』の呼びかけから、熱中症か日射病で倒れてしまい、廃棄された車両の日影にミロを運んで休ませているのはわかるんですが……
引用 錆喰いビスコ/電撃文庫 錆喰いビスコ製作委員会
そこからあのトゲトゲとした動物を食べさせることで栄養を摂取させようとするのもわかります。
しかし、あのトカゲもどきを食べて、車両の外に出てミロがパウーとジャビの容態について語りだすのは結構な違和感がありました。
私がビスコなら『まずはテメェの身体の心配しろや、このすっとこドッコイ! たった今、テメェは倒れたばっかりなんだぞ! ほら……これでも食べて精をつけろ!』とでも言って、あのトゲトゲとした動物を食べさせようとする、という展開なら、ミロ側には多少無理がありますが、日射病か熱中症で頭がもうろうとしていたんだ、という無理くりではありますが、力づくの説明は出来ますし、それに対して、ビスコがフォローをする、という形に出来るので、今回の流れよりは、自然な流れになると思うんですがね……
この違和感を覚えるシーンは、個人的にはすごく不自然に見えるシーンでしたが、こういう不自然な形にしないと尺が稼げなかったのでしょう。
原作にはあったはずの台詞が、結構カットもされていますからね。
チロルがアクタガワを盗もうとする際に、香を使う、という会話シーンがそっくりなくなっています、他にも結構削がれている台詞が多数ありますから。
まぁこの第四話の『蟹に乗る』で不満な点は、このミロが日射病、熱中症で倒れてからジャビ、パウーの容態を語ること以外はありませんでした……けど、どこにこの二人の容態についての台詞を挟めばいいのかと問われると、中々に難しい……
話を第四話に戻しますが、それにしても猫柳先生、アクタガワに随分とブン投げられてましたが、よくめげずに乗ろうとする(笑)
これだけ投げられてそれでもアクタガワに乗ろうとするのだから、そりゃタイトルが『蟹に乗る』になるよなぁ。
今回の『蟹に乗る』を見ていて思ったのは、花江夏樹さん、悲鳴上げるのめちゃくちゃ上手いということと、大茶釜チロル役の富田美憂さん、アクタガワをミロからかっぱらおうとして失敗し、ビスコに発見されて矢を射かけられた際の、逃げる時の叫びが真に迫ってる(笑)
声優さんで言えば、鈴木崚汰さんの今回の悪ビスコはこの台詞ですね。
『誰の蟹に、手ぇつけてんだ、コラァッ! そのまま餌になりてぇかァッ!』ですね。
引用 錆喰いビスコ/電撃文庫 錆喰いビスコ製作委員会
相変わらず悪人じみた面構えの主人公です。
まぁ、悪ビスコで言うならば、他にも『あのくらげ、捕まえて蒸し焼きにしてやる』と、スイカを見つけたものの、子どもが先にスイカを確保してからの『待てコラァぁァァッ! おらぁガキぃぃ、よこせぇぇぇっ!』もう完全に悪党じゃんビスコさん(笑)
そして、日光戦弔宮の最期の断末魔で足尾骨炭脈を爆発させられた際の、
『う、う、うぉぉ、畜生っっ! んなん、ありかよっっ!』というあの叫びの無常観は何とも言えないものがありましたね(南無)
もっとも富田美憂さんの演技にかんしては、膨れ蚕が巣くっていた際の悲鳴、日光戦弔宮の覚醒によってビスコと共に取り残された際の悲鳴と呼ぶには生々しい叫び、ビスコに矢を射かけられて逃走する際の叫び……お疲れ様です、こんなのばっかりで(悲)
引用 錆喰いビスコ/電撃文庫 錆喰いビスコ製作委員会
でも次回予告の際に出てきた『ねぇ、次回予告ってギャラいくらぁ?』って台詞は大茶釜チロルというキャラクターのがめつさをよく表してますな。前回の黒革といい、前々回のパウーといい、キャラクターの性格がすぐにわかるような次回予告にしているのは良い作り方だと思います。
しかしチロルちゃんや、私は君というキャラクターがあまり好きではありませんが……君に襲い掛かられたビスコが『クラゲ』と故障するのはわかるのですが、女の子が自分の髪の毛をクラゲに例えるのはいかがなものでしょうか(汗)
私、髪は女の命、と教わっていたのですが、この時代は違うのか(うーむ)?
さらに今回はクラゲさんこと、大茶釜チロルに関しては、ビスコを退かせるくらいにはとんでもない迫力を見せるシーンが一つあります。
そう、お金が絡んだシーンですね。
引用 錆喰いビスコ/電撃文庫 錆喰いビスコ製作委員会
『たまたまお前に敵わないだけで、こっちはお前の賞金まるまる損してんだ! ケチ臭いこと、抜かすんじゃねーッ!』
ここまでくると暴論も正論のように聞こえてしまうのだから恐ろしい(錯覚です、錯覚)
そして今回の個人的な見所の一つ、ビスコシーンっ!
何のこっちゃと思われるかもしれませんが、赤星ビスコが、グリコのビスコ、バター味を食べるシーンが原作にあるんですよね。
引用 錆喰いビスコ/電撃文庫 錆喰いビスコ製作委員会
このように、アニメ版でもちゃんとビスコが描かれています、食べる方のビスコを(原作通りバター味!)
さて、今回のハイライトは日光戦弔宮との戦闘かと思います。
引用 錆喰いビスコ/電撃文庫 錆喰いビスコ製作委員会
こ、こんなにデカいとは思わなかった、日光戦弔宮……左で土煙あげているのがアクタガワですが、アクタガワだってかなり大きいのに(汗)
これまで蟹と話すことは出来ても、蟹に乗れなかったミロが、日光戦弔宮の眉間に対し、アクタガワの大鋏で叩きつけたシーンは見物。
引用 錆喰いビスコ/電撃文庫 錆喰いビスコ製作委員会
いや、アクタガワのフィギュア化、プラモ化を熱烈に希望するんですが、誰か商品化する方、いません?(汗)
そしてミロとアクタガワによって産み出した隙を、見逃すようなビスコではありません……ありませんが、月を背に弓を射かけるシーンは見物でした。
引用 錆喰いビスコ/電撃文庫 錆喰いビスコ製作委員会
ちなみにこの時にビスコが日光戦弔宮に対して使用したキノコ毒は赤ヒラタケ……だそうですが、あまり、赤ヒラタケには見えないなぁ……まぁ、どのキノコ毒を使用したかアニメ版では明言されていない訳ですから、赤ヒラタケに見えなくても全然おかしくはないんですが、ではこの毒々しく見える紫色のキノコは一体何なんだろうと疑問に思った次第。
今回も面白く見せて頂いた第四話『蟹に乗る』でしたが、第五話「こどもたちの砦』に続くわけですが……今回は町の中という訳でも無く、旅の道中という形でしたので、次回は砦の中というか、子どもたちだけが生活している環境の中に入る訳で、どういうふうに鈴木崚汰さんと花江夏樹さんの演技されるのか見物です。
それと、今回の話は最初に書いた通り、『錆喰いビスコ』の94Pから128Pまで、次回の放送分のプロローグとして137Pのスイカを見つけるシーンまでを描いております。
なのですが、丸々描いたかと言うと、ちょくちょくカットしているシーンもありますし、台詞も結構削ってます……が、それでも話としてきっちりまとまっているのは流石の一言です。