『錆喰いビスコ』猫柳パウーの声優は近藤玲奈さん

『錆喰いビスコ』に登場するキャラクターはよく言えば個性的、悪く言うとアクが強いという印象ですが、それは男性キャラだからでは? と思われるかもしれません。

そんな方には、この作品の一巻から登場する猫柳パウーと大茶釜チロルの両名を知ってもらいたいと思います。

引用 瘤久保慎司 赤岸K/電撃文庫

私が何を言いたいか。一言で言うとですね、この作品に出てくるキャラクターは、著者の瘤久保慎司さんが生命力に愛おしさを感じていることからわかるように、男性だろうが女性だろうがとにかくパワフル、ということ。、

ただ、猫柳パウーと大茶釜チロルでは、パワフルの内容が違ってくるんですよね。

今回は、そんなパワフルな女傑、猫柳パウーについての考察を進めていきたいと思います。

名字の『猫柳』で、『錆喰いビスコ』を未読の方でも推測出来ているでしょうが、彼女はもう一人の主人公と言っても良いミロの姉になります。

まぁこのパウーさんですが、『錆喰いビスコ】の舞台は、架空の日本が舞台であり、忌浜という現実には存在しない土地があります。

現在の茨城県と群馬県に挟まれた辺りになるんですが、そもそもこのビスコの茨城県と群馬県と言うか、日本地図がかなり現在の日本とは異なるんですよね。

引用 瘤久保慎司 赤岸K/電撃文庫

埼玉は東京都ごとなくなっているし、栃木の土地は大幅に狭くなり、東北出身の私としては、福島の辺りがどうなっているのかこの地図ではよくわからんし(泣)

ちょっとビスコ一巻の地図を乗せてみても、わかりにくいんですが、猫柳パウーは忌浜の自警団の団長を務めています。

組織のトップに昇る人というのは、大きく分けて二種類の人がいると個人的には考えているのですが、まず、率先して皆の先頭に立って、グイグイ皆を引っ張っていくタイプ。

そして、カリスマ性だの智謀だの種類は色々あるでしょうが、そういった力で皆を、組織としてまとめあげていくタイプ。

個人的な考えですし、この両方がブレンドされたパターンももちろんあると思いますが、猫柳パウーの場合は前者。

本人に強大な戦闘力が備わっていることもあるのでしょう。

彼女は当初、指名手配されていたビスコを捕まえるために動いていましたが、ビスコの陽動に引っかかってしまい、ビスコが現れた場所と違う場所で、ビスコ出現の報告を部下から聞いた際に、こんなやり取りがあります。

副長『お一人で先行なさるおつもりですか! 相手は国家手配の大悪党ですぞッ』

うん、部下が言っている事、ビスコが大悪党という点を除けば、良い進言だと思います。言い辛いことを直言する部下、いいですなぁ。

パウー『私に意見を垂れるのなら、模擬戦で一本でも取ってからにするんだな。指示、ぬかりなくやれ』

こう言うと、副長の返事を聞かずにバイクで走り出してしまうんですよパウーさん(笑)

引用 瘤久保慎司 赤岸K/電撃文庫

いや、確かにパウーさん強いですよ? 弓で爆撃機撃墜するビスコと、左半身を『錆』に侵されている状態で渡り合うのですから、一巻の時点で単独の戦闘力はトップクラスの女傑―いや、女傑と書くより、作中でトップクラスの戦闘能力を誇るキャラ、の方がより正しい表現になるかな。

重量四、五キロではきかない鉄根を獲物にしており、その威力は瓦屋根が粉々に打ち砕かれるほど、と言ってもその凄さがよくわからないかもしれませんので―

爆撃機を撃ち落としたビスコの矢を、鉄棍で撃ち落とすという離れ業をやってのけています。

まぁこれだけの戦闘力があれば、先程の発言もアリなのかなと思いますが、組織のリーダーがやるべき事なのかな、というのは少々疑問が残ります。

もっとも、パウーが単独で先行したのは、弟のミロがいるパンダ医院に巨大なキノコが咲いた、という報告を受けたこともあるからでしょうけど……

結果的に、ビスコの話を聞いていたことが仇になり、彼におくれを取ってしまう結果となったのですが……良かったよねぇ、ビスコが大悪党だったら、パウーさん、何されているかわかんないですよ?

だから副長さんが止めてくれたのに、と思わなくもないですけど……いや、わかってますよ、物語の構造的に、ビスコと戦闘する時に集団を指揮して戦うリーダーという図式を出してしまうと、後々和解してビスコに味方してくれるパウーの戦闘力がどの程度のものなのか伝わりにくい上に、一対一でやりあうとやっぱり画が映えるし、ビスコだけでなくパウーの凄さも伝わると、一石三鳥くらいの効果があるから、シナリオ上そうなったんだろうな、という舞台裏のことは。

でもたまには集団戦で知的に主人公を追い詰めるキャラクターも見たいなぁと思う訳ですよ、特にビスコが豪快で強引で獰猛なキャラクターで、その相棒であるミロが知力面を引き受けている訳ですが、時としてミロの方がアクセル役になる場合がありますからね。

 もっとも、パウーがいきなり部下を指揮してビスコを追い詰め始めたら、多分第一巻のあのパワフルさと勢いはかなり減じられていたでしょうから、物語の構造上、ビスコと一対一でやりあうのは正解だったのでしょう。

容姿的にはこのパウー、美人さんであり、長身、かつ身体はしなやな筋肉で引き締まり、『強さと美しさを兼ね備えたそれは、ネコ科の動物を思わせる』と作中で描写され、弟のミロも顔立ちが整っていることも手伝い『忌浜に落ちた二つ部の真珠』とも揶揄されております。

で、前述したように、『錆』が左半身を侵しているため、その顔の半分も『錆』に覆われています。髪の色は黒で、ロングヘアーなのは一目見てわかりますが、作中でビスコがパウーと戦闘後に勝利した際、肩に彼女を抱えるのですが、彼女の黒髪が地面に擦れるのを忍びなく思い、髪も両手に丁寧に抱え直して走り出す描写がありますので、かなり長い髪なんでしょう。

しかし、一巻の半ばでは、ミロの指輪に発信機を仕込んでいたことによって、彼等の現在位置を割り出したパウーは、ビスコと再戦をしようとしますが、色々と介入があったために仲直り……とは言えないなぁ、休戦状態になります。

その際にパウーは赤星を『弓の撃てるサル』『人喰い茸の赤星』と言っており……うん、口が悪いよパウーさん。ただビスコも『メスゴリラは、語尾にウホってつけろや!』と言っています。

もっともこれが照れ隠しみたいなものもあるのか、読み進めていくと、パウーは、錆びた私を見て美人と言ったのはお前ぐらいだ、と言っていますし、さらには『お前もよく見れば凛々しい……可愛い顔をしているよ』とビスコに告げています。

ミロもビスコに、彼女はいるのか、いないならパウーはどう、という内容のことを言った挙句『Eカップっす』とそのスタイルにまで言及する始末……ミロ、なんだかここの部分だけキャラが違ってる(笑)

あと、ビスコに負けず強引なところがあります(笑)

パウーは前述した通り、半身を『錆』に侵されており、弟のミロはその治療をすべく様々な調剤をしているのですが、そんな状態で指名手配されたビスコが出現したと聞いて、出動しようとするパウー。

当然、ミロは病身の姉を出動させまいと立ちはだかるのですが、彼の首筋へ当身を放って気絶させています……

『……弟に当身くらわす、姉なんて。聞いたことないよ!』と叫びミロの嘆きもごもっとも。

ビスコに負けず、パウーも相当強引でしょう?

そんな強引なところがあるのに、黒革の手によって、ビスコの師匠であるジャビが人質にされた際には、黒革にどれだけ痛めつけられても、ミロに、ビスコと共に逃げろ、と健気に守ろうとするんですから。

ちなみに一巻では半身が錆に侵されていますが、二巻ではその錆もこの通り、凛々しいお姿を披露してくれます。

引用 瘤久保慎司 赤岸K/電撃文庫

こんな感じで、作中最もパワフルな赤星ビスコに負けないパワーキャラであるパウーは、豪快かつ強引でありながら、ブラコン気味の姉でもあり、気骨のある女性です。

そんな彼女の声を近藤玲奈さんが担当されますが、そ『日本中の街を錆び塗れにしてきたその罪、ここで償ってもらう!』という勇ましい声は似合っていますが、ミロに対して発する声はどうなのかなと今から興味津々です。

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