リコリス・リコイル Ordinary days 読後の感想ネタバレあり

リコリス・リコイル

タイトル通り、リコリス・リコイル Ordinary daysを購入し、たった今ようやく読み終えましたので、その感想をネタバレありで書いて行こうと思います。

リコリス・リコイル Ordinary daysの帯には【TVアニメでは描かれなかった千束やたきななど、看板娘たちが織り成す日常的な非日常を描いたささやかな物語!】と銘打っています。

えー、まず私、リコリス・リコイルをずっと視聴していますし、発売当日に本屋へ向かうくらいには今作にかけている期待は大きかったことをまずここに書き記しておきます。

期待がとても大きかった訳です。

期待が大きいのは、私だけではないはずで、その証拠に私は川崎駅まで出張ってリコリス・リコイル Ordinary daysを探しましたが、川崎DICEのツタヤでは在庫無し(完売と思われる)、有隣堂も在庫無し(完売と思われる)、丸善で残り2冊のうち1冊をどうにかGET出来たのが18時30分頃です。

マジでギリギリだった、これでも仕事終わって速攻で購入に向かったんですけどね。

個人的には、三件本屋をハシゴしてでも読みたいというレベルで、期待していたんですね、リコリス・リコイル Ordinary days。

感想を一言で述べよと言われるなら、竜頭蛇尾、は言い過ぎかもしれませんが中盤で話の質がガクッと落ちた印象があります。

具体的には第四話『リコリコ・オブ・ザ・デッド』がまるごといらないかな、と思いました。

そこまでは喫茶リコリコの日常的なパートを中心に描きつつも、非日常の事件についてもしっかり描写され、満足のいく出来だったんですが……リコリコ・オブ・ザ・デッドはないなぁ。

本人たちが夢だと自覚しているゾンビもののお話しだなんて、読んでいて一気に興が覚めてしまいました、ガックリ。

夢落ちはさすがにないでしょう、アサウラさん……?

個人的には、第四話『リコリコ・オブ・ザ・デッド』の182Pから235Pの中で必要な情報は、198P~199Pに存在する、DAについての文章だけだと思います。

以下、リコリス・リコイル Ordinary days198P~199Pの文章より抜粋です。

DAは、ダイレクト・アタックの略称だ。組織名としては明らかにおかしな名称である。

唯一無二の組織ならばリコリス同様に適当な呼称でいいが、具体的な役割をあえて組織名にするという事はそうではない、という事だ。

つまり《平和な日本の姿を守る》とする同様の理念を有しながら敵への直接攻撃を主としない別の組織が存在するのはほぼ間違いない。

恐らく類似した超法規的組織というのが幾つも存在しており、DAはその中の一専門組織、何なら巨大組織の一部署なのかもしれない。そしてその名付けをした【もの】―これらを包括、または統括する上位の【もの】もまた存在するはずだった。

これらは決して教えられる事はないが、DAの名前に違和感を持てば誰でも遅かれ早かれ気がつく事である。しかし口にするのは何とはなしにタブー感がありリコリス同士の会話でもあまり出た事はない。

この文章を出来るだけ自然に出したいがために、ゾンビパニックものを、本人たちが自覚している夢オチという形でやったんじゃないかと私は思っています。

あるいは、意図的にバカバカしい話を作り、その中に重要な情報を紛れ込ませたか。

もしくは、後書きでアサウラ氏が書いているように、スケジュール的に相当きつかったらしく、他の9月に出す作家さん達の締め切り時点で執筆をスタートしたから、ここの部分の質が落ちたか。

という訳で、第四話『リコリコ・オブ・ザ・デッド』は先程の文章以外は個人的にアウトなので感想書きません。

文章や摸写がどれだけ力入れても、土台がダメだとどうしようもない、という良い例だと思います。

そこ以外は良質だと思うので、感想を書いていきます。

各話の前にそれぞれイントロダクションがあり、最初のイントロダクションで、雑誌ライターの徳田さんが喫茶リコリコを気に入ったことで取材したい、というお話しなんですが喫茶リコリコの空気が伝わってくるお話しですね。

そして、スティック状のモナカ、食べてみたくなる……コーヒーに和菓子。

私、コーヒーのような苦い飲み物は基本苦手ですが、こんな描写されるようなコーヒーなら一口飲んでみたくなりました。

第一話の『閉じ行く人生にスイーツを』のメインキャラは土井善晴55歳。

くるみ曰く、株か何かで一発大きく当てたこともあってか、それまで経営していた事業を売却し、三年前にセミリタイア。

年をとったことで可能性が減っていくのを自覚し、行動を起こすための腰を上げるのが、とても重くなっている方。

そんな人を見れば、千束がなんやかんやと世話を焼くのは定番。

散歩、観光、運動、食事、ゲーム、映画鑑賞……

他者から期待されることで、身体が疲れていても土井さん、気分が若返ったようで足が喫茶リコリコに向くんですよね。

で、ミカにアドバイスされたこともあって、残り少ない人生だからこそ、今の内にやりたいこと、やらなくてはならないことをやろうという気になるんですよ。

この摸写の過程は丁寧で、良い喫茶店だなぁ、こんな喫茶店あったら皆、こぞって行くだろうに、と思ってしまうほど。

ただ、その過程で、たきなの反応に周囲が注目するのです。

具体的には、たきなが、土井さんに恋をしているのではないか、と。

そう考えてしまうと暴走特急・錦木千束が動かない訳がない(笑)

およそ40歳差の恋を成就させるべく我等がファースト・リコリスが活動を開始するんですが……

全部は書きません、一言だけ述べます。

土井さん、ご愁傷様です(T-T)

第二話は『ガンファイトとコーヒーと千束の赤いアレ』

この作品では珍しいガンアクションシーンが見られるお話。

治安が良いとされる日本で、違法な売買がされない理由、リコリスの活動を、千束とたきなをメインにしてまとめられています。

ここも丁寧に描かれていますが、内容がガンアクションものだからか、第一話よりは話が短め。

個人的には敵として出てきたブルドックに缶コーヒーではく、ミカが淹れたコーヒーを飲んでみてもらいたいところ。

第三話のTakinas cookingはたきなの喫茶リコリコにおける賄い料理のエピソード。

リコリス・リコイル本編では、たきなが千束と同居した際、家事分担を行うためジャンケンをして全敗し、炊事・洗濯・掃除、全てたきなが行ったので、必殺料理みたいなものは出ないはずなのに、どうやって笑わせにくるのだろう、と思っていたんですが……なるほど、さすがは井ノ上たきな、予想の斜め上をいく(笑)

まず、他の喫茶リコリコの賄いの内容を言っていくと、ミカは真っ当かつ手早く食べられる料理。

千束はチャレンジ枠。美味しいものが出来上がる時もあるが、何より楽しい。エンタメ系。

ミズキはお酒のアテになる食材を利用したもの。

クルミはそもそも料理経験がないので、駄菓子や冷凍食品。

という感じなんですが、たきなが用意した賄い……

プロテイン!(爆)

もっとも、これにはちゃんと理由があります。

たきなは、第四話のパンツ事件でもわかるように、指示を律義に守る人物。

パンツ事件についてはこちら。

このエピソードからもわかるように、クソ真面目に指示を守ろうとするんですよね。

で、たきなは最初の賄いでは、里芋の煮物とご飯、大根の菜っ葉を用いた自家製ふりかけ、漬物に味噌汁、豆腐に煮ヒジキという、THE日本という感じの賄いを作り上げました。

が、こんな手の込んだものを短時間で作れる訳がありません、しかもこの時、喫茶リコリコは混雑気味。

調理場から出てこないたきなに、ミズキが効率悪過ぎ、時間をかけるな、という内容の言葉を発したのです。

その結果、プロテイン定食という悲劇が誕生してしまった、と(笑)

たきなの人柄がよくわかる、一番笑った話ですね、コレ。

第五話の『ご注文は?』は、喫茶リコリコの裏の側面、民間での依頼はこんな感じで行われる、という感じのエピソードを、依頼人側の視点からまとめられた感じのお話し。

それにしても、カナちゃんが不憫や……

でも彼女が手を汚すようなことがなくて良かった良かった。

しかし、平常時は暴走特急・錦木千束なのに、非常時だと暴走特急・井ノ上たきなになるのが何とも……(汗)

カナちゃんを襲おうとした教師を、『殺すべきです』、とミズキに言っていたらしく、ミズキがいなかったら殺っていた可能性が(汗)

しかもカナちゃんが銃を抜いたら沈黙し『わたしが撃ったことにしましょう』だからなぁ。

そしてミズキが意外とカナちゃんの心労を思って、さっさと助けてあげるべきだった、と言っているのも印象深かったです。

普段は呑んべぇで結婚願望ダダ洩れな女性でも、そういうところを見せれば結婚相手は引く手数多よミズキさん(笑)

一話から三話みたいな話ならまた読みたいですね、五話は傷つく登場人物がいるのが読んでてちょいと辛い。

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