世の中には多種多様な人々が存在しますが、十人十色だからこそ人脈というものができたり、あるいはしがらみというものができたりします。
それはこの正直不動産の主人公である永瀬にとっても同様であり、登坂不動産という会社に在籍し、身を置いている以上は、上司、という存在が必ずいます。
今回考察するキャラクター、大河真澄は登坂不動産の部長。永瀬にとっては直属の上司、という訳ではありませんが、嘘がベラベラつけていたころは、その営業成績にものを言わせ、課長昇進を狙っていた彼にすると(一巻で登場時は副課長)、他の社員に比べると近い立場の上司。
引用 大谷アキラ 夏原武 水野光博/小学館
眼鏡にリーゼントヘアをした、特徴的な出で立ちの彼は、これまで登場してきたキャラクターの中では、登坂不動産内で彼の上司にあたるキャラクターは社長である登坂寿郞のみ……つまり、ナンバーツーの立ち位置にいます。
最初の登場時は、永瀬がまだウソをつけなくなったことをしっかり理解出来ていない時期でした。
『「奢ってやる」、とおっしゃいましたが、一昨日、「小銭がないから」と大河部長が言うので、僕が130円貸してます』
そのため、こういうケンカを売られていると思われても仕方ないやり取りの最中に登場しています(笑)
その際の大河真澄さんの顔がこちら。
引用 大谷アキラ 夏原武 水野光博/小学館
ガクガクブルブル(ガクガクブルブル)
そりゃ、利子つけて返済させてもらうよ、とお札押し付けられもする(恐)
実にインパクトのある、怖い初登場を果たした大河さんですが、桐山の時に話した『契約』の種類の話は覚えているでしょうか?
『専属専任媒介契約』『専任媒介契約』『一般媒介契約』の三つですね。
手数料が取れない『一般媒介契約』を結んだ際には、大河さんにこのように問い詰められてます。
引用 大谷アキラ 夏原武 水野光博/小学館
ガクガクブルブル(ガクガクブルブル)
最初の数話はこれでもか、というくらいに怖いキャラクターという印象を与えられた大河部長ですが、ただ怖いだけではありません。
第五直の朝礼で、大河部長はこんなスピーチをしています。
『日本一高い山は富士山だ。では、二番目に高い山は?』
引用 大谷アキラ 夏原武 水野光博/小学館
パッとは即答出来ませんよね、私もわかりません(汗)
『答えは北岳だ。ほとんどの人間が知らんだろう。つまり、一番と二番では雲泥の差ってことだ。いいか、今、不動産屋はコンビニの倍の数存在する。2位じゃダメなんだ、ナンバー1を目指せ。』
ムムム、実例を交えた中々に良いスピーチではないですか。
部長の職にあるのは伊達ではない、と思ったんですが……登坂社長が初登場した際の大河部長のお顔に、スピーチの良さなど全部吹っ飛んでしまいました(汗)
ここからだと個人的には思うんですよね、大河部長の社長が絶対、と言うのと、瞬間湯沸かし器じみたキャラクターが形勢されたのは(汗)
永瀬が大河部長と共に、とある老夫婦の自宅に赴き、その自宅を打って貰うべく話を聞きに行ったのですが、話を聞いていると、どうも自宅を売らない方がいい、という判断をしてしまうんですね。
で、永瀬はウソがつけない(汗)
結果、老夫婦に自宅は売らない方がいいですよと告げる訳ですが、そうなると隣で話を聞いていた大河部長、どうなると思います(笑)
会社帰ってきて、コレです(笑)
引用 大谷アキラ 夏原武 水野光博/小学館
いやぁー、大河部長くらいストレートに感情表現をしてくれると、傍から見ている分には面白い面白い(オイ)
しかも、色々と事態が転がった結果、この老夫婦は自宅を売る方が良い、という判断をし、永瀬も話を聞いてみると、そういうことであれば、と家の売却を担当することに。
結果、5千万で売れたこの家、多分一番喜んだのが大河部長(笑)
だってこんな顔されたらそりゃー嬉しいでしょ(笑)
引用 大谷アキラ 夏原武 水野光博/小学館
こんな感じで、嬉しい時、怒った時の感情表現は作中屈指のストレート具合。
しかし、本当に大河真澄が怒った時は、このような感情表現はしません。
彼が本当に怒った時は、一見すると怒っているように見えません。
しかし、瞬間湯沸かし器じみた人が、「おまえが謝る必要はない」なんて言われたら背筋がゾクッときます。
引用 大谷アキラ 夏原武 水野光博/小学館
ただこの場面に限っては、永瀬が頭を下げていますが、本当に永瀬が謝る必要はなく、この後にやってくる人物に対して大河部長は怒り心頭なんですが……この辺りは5巻を購入してお話しを読んでもらった方が良いでしょうか。
ちなみにこの時は永瀬が自らの売り上げ(歩合給)はいらない、と交換条件を出すことで、その人物は大河の怒り=クビを免れることが出来ました。
……出来ましたが、釘を刺した際の大河部長が、こちら。
引用 大谷アキラ 夏原武 水野光博/小学館
こういう感じで、登坂不動産の重しとなってくれている大河部長なので、営業成績が悪い相手には容赦がありません。
一巻では新卒であったこともあり、社長の登坂寿郎の【向いてないんじゃないか】発言から庇った月下であっても、例外にはなり得ません。
が、こういうパワハラじみたこと【だけ】をやっている人物が部長に昇進できるはずもなく、ちゃんと色々とアフターケアを彼なりにやってもいるのです。
例えば……月下が実にイヤーな客を担当したことがあるのですが……あまりの酷さに、嘘をつけない永瀬は『可愛い後輩を泣かすような輩は、お客様ではございません』と本音でその客を一刀両断。
が、逆切れした客は、お前らの上司の顔が見てみたい、と言いかけた瞬間に我等が大河部長登場。
あまりの迫力に、反社が出たと叫ぶ客に名刺を出しつつ
『そうだ、永瀬―【ミネルヴァ不動産】にササれた。サシ返してこい。』と指示。
引用 大谷アキラ 夏原武 水野光博/小学館
業界用語を使っているだけなんですが、何も知らない客からすれば、こんなマフィアめいた面立ちをした人物が『サシ返してこい』と言えば、刺し返してこい、と言っているようにしか聞こえません(汗)
ちなみにサス、とは不動産業界で、公益社団法人首都圏不動産公正取引協議会、略称、公取に、不動産広告法の景品表示法違反を指摘することを意味しています。
以前、桐山貴久の紹介ページで、囮物件についてちょろっと書いたことがありました。
アパートを借りようと、不動産会社でネットの情報を漁っていると、やけに条件が良い掘り出し物めいた物件が見つかることがありませんか?
全部が全部、という訳ではありませんが、私は今思い返してみると、アレは囮物件だったんじゃないか、という賃貸物件に引っかかったことがありましたからね。
周辺がみんな六畳一間で賃料6万円以上のアパートばかりなのに、築十年以内で54000のアパート代、しかも最寄り駅のアクセス五分で近場にスーパーまである、ということで赴きましたが……『すいません、そのアパートは先程契約が決まりまして……』とすまなさそうに言われたことがありましてね。
一週間後にその不動産のホームページ見てみたら、まだその物件が掲載されていたので、限りなく囮物件近い灰色案件のものだったのでは、と今では思っていますが……
公取に呼び出されると、質問攻めにされ、悪質と判断されると広告の掲載を一カ月停められるペナルティがあります。
そういう実際に有り得ることも漫画の中で物語に組み込みながら話を展開しているのが正直不動産の人気の理由の一つでしょうね。
そんな大河部長の見せ場は第53直、54直の賃貸管理物件。
どういうお話しなのかは、直接見て貰った方がいいのですが、サワリだけ紹介を。
登坂不動産に管理委託契約を任せているオーナーさん達が、こぞって管理会社を変更したい、と申し出が多発するのです。
と言うのも、登坂不動産より安い管理委託料で契約を結ばないか、と登坂不動産のオーナーを狙い撃ちしている会社が現れたからです。
まぁ、言うまでもなく、登坂社長の怨敵率いる、鵤のミネルヴァ不動産の策略なんですが。
ここから先は7巻を購入して、ご自身の眼で確認した貰えれば。
大河部長の部長たる所以が見られるエピソードです。
さて、そんな大河真澄の、部下からイボイノシシと呼称されることもある瞬間湯沸かし器を演じるにふさしい俳優さんは誰か(笑)
香川照之さんが良いんじゃないかなぁと個人的には思っています。
香川さんなら、大河部長の瞬時に沸騰するのもコミカルに演じてくれるでしょうし、『イボイノシシだってたまには役立つだろう?』と笑って演じてくれるでしょう。
何より、本当にガチギレした時の迫力が重要で、東京湾の水温を当てて貰う、と告げる際の声音と表情は、生半な俳優さんでは演じられないでしょう。
半沢直樹を知っている方からすれば、大和田常務役のイメージが強いと思いますが、あのイメージを更新できるサラリーマンキャラとして、大河真澄部長はポテンシャルがあるので、私は香川照之さんに是非演じて貰いたい!
追伸
2月10日に発表された追加キャストで、大河真澄部長の俳優さんが決定しました。
お笑い芸人、シソンヌの長谷川忍さんになります。
芸人さんをあててくるとは……でも大河部長、コミカルな役柄でもあるから合っているかもしれません。