『錆喰いビスコ』第一話 八十万日貨の男を視聴後の感想とネタバレ

よくやってくれた『錆喰いビスコ』を製作してくれたOZ! 特に脚本の村井さだゆきさん! これって絶対ファインプレイと言って良い構成だよ!

……コホン、失礼しました。先程、ABEMAの動画配信で『錆喰いビスコ』の第一話である八十万日貨の男を視聴してきました。

ここから先は、錆喰いビスコの第一話を視聴後の感想になりますので、まだ視聴していない方はお戻り下さい。

また、私は原作である電撃文庫の『錆喰いビスコ』も読んでおりますので、この先のネタバレになる可能性が高い話も致しますことをご了承下さい。

引用 錆喰いビスコ/電撃文庫 錆喰いビスコ製作委員会

最初のシーンは、日本が滅びていくシーンですが、『そして、世界は核の炎に包まれた』というナレーションが出てきそう(笑)

この後で、東京爆心穴の看板、水場で水を飲むカバ(多分、動物兵器のカバだと思うんですが、機銃や大砲が取り付けられている様子は無い)、そして呪符めいたもので身を包んだビスコと登場していきます。

引用 錆喰いビスコ/電撃文庫 錆喰いビスコ製作委員会

この辺りは、ビスコの旅装がそれっぽくコーディネイトされている以外は、そんなに変わっていないのかな、とも思いましたが……原作では、日本が荒廃した説明は後にされていますので、このシーンは効果的に『あ、この物語は荒廃後の日本なのね』と一発でわかる良い改変だと思いました。

そして、群馬と忌浜の県境の検問と言うか関所でのやり取り……を全てやらずに、シーンが飛ぶんですよね。

娼館めいた場所で、娼婦の取りまとめ役と思しき老女が、テツジンとかキノコ守りが、世界に錆を広げている情報を説明してくれます。

うん、確かにここで誰かが説明してくれないと、原作知らない人は置いてけぼりくらうから、良い挿入だと思います。

そしてここに娼婦さんや他の患者さんを治療する猫柳ミロのシーンを差し込むことで、彼が医者であることを明示しており―さらには饅頭屋の主人から、周囲から危険視されている、『錆』の元凶と考えられるキノコを受け取るシーンも出てきます。

と言うか、この第一話で言うなら、誰が中心になっていたかと言えば多分猫柳ミロ。

引用 錆喰いビスコ/電撃文庫 錆喰いビスコ製作委員会

もちろん、ビスコも登場しているんですが、村井さだゆきさんの構成だと、何も知らない視聴者からは『ビスコってテロリストだな』と見られるよう作られているんですよね。

この辺は後述しますが、猫柳ミロと花江夏樹さんの声に話を戻しましょう。

いや~、徹頭徹尾善人の声(笑) サソリアブに刺された子どもに荷物をかっぱらわれた時も『女の人を殴る男が、最低だよ』という台詞にすら善良さが滲み出ている気がする。

黒革に対する台詞にさえ、怯えているなぁとは思うものの、嫌悪とかは感じられないし……これが売れっ子声優の実力か(遠い目)

饅頭屋の主人からも身を案じられていることから、単純にキノコをテロ目的で使う訳ではないことを示唆し―実際、この後にミロは『今は、可能性のある材料を片っ端から調剤してみたい。そう、どんな材料だって……』という台詞を用いることで、危険とされているキノコを、薬に使うために実験していることを視聴者に訴えている訳で……よくこの短い尺の中で情報詰め込んだなと思いますよ、マジで。

この後に、パウーの登場になりますが―うん、イメージ通りの凛とした声です。

でもパウー、ベッドにいる患者モードの時はともかく、武装した後は原作よりカッコよく見えますね。

女傑、と言うのがピッタリなイメージ。まだ登場シーンが少ないので、2話目以降に期待ですね。

引用 錆喰いビスコ/電撃文庫 錆喰いビスコ製作委員会

ですが、『声』だけで言うならば、この第一話で個人的に最高な声かつ台詞は、黒革でした。

『しかし、どちらが無駄かな? オレと、ナッツでもつまみながら一番面白い漫画について議論するか。それとも……どうやっても治らない姉のために、気休めにむなしく手を尽くすか。お前の行為は美しくそして無駄だ。いくらお前が下町で奮闘しようが、金のない人間は死ぬ、さっきのガキもだ。無残に、この街にいたぶりつくされてな』

この後にも『県庁に務めろ』という台詞も続けていくんですが、尺を稼ぐため、という目的もあるんでしょう、黒革の台詞を一部カットした上で、淡々と言葉を紡ぐ津田健次郎さん。

でも忌浜マスコットのイミ―君も伴っているのが、何とも、こう、空気に似合わないというか(汗)

いや、イミ―君はこの際無視する(大汗) 黒革に話を戻します。

淡々と言葉を紡ぐことで、悪党の迫力が滲む津田ボイス。

引用 錆喰いビスコ/電撃文庫 錆喰いビスコ製作委員会

どこぞの『私が天に立つ』と言った人物ではありませんが、強い言葉を使うことなく、淡々と言う事で逆に圧迫感が伝わってくるんですな。黒革さんを津田健次郎さんにしたのは良いキャストだった……グッジョブ、監督さん!

この後で出てくるビスコの声は、最初の登場時と同じく淡々としているのですが、最初の登場時と同じく声に野性味は相変わらず含まれているんですが、荷を検められそうになってちょっと焦ってる感も出て、さらに弓のことについて探られた時はその焦りがさらに強く感じられたので、鈴木峻太さん、上手いなと思いましたね。

最後の『ビスコだっ』という名乗りもワイルドでカッコよいし。

大茶釜チロルは……今回チョロッとしか出ていないし、台詞もそんなに無いので、個人的には「ヒャッホー、エスカルゴがアニメ化されたぜいぇぇぇいっ!」って感じ。

引用 錆喰いビスコ/電撃文庫 錆喰いビスコ製作委員会

うん、チロルの感想じゃねえじゃん、と言われるかもしれないけど、エスカルゴは『錆喰いビスコ』の世界観を簡単にあらわしてくれている兵器の一つだと私は思っているので。

ここから先は、最初に言っていた、構成の村井さだゆきさんファインプレイの構成が生きてきます。

猫柳ミロ、花江夏樹さんの声の感想のとこでも書きましたが、この時点でビスコはあくまで『指名手配されている八十万日貨のテロリスト』なんですよ。

引用 錆喰いビスコ/電撃文庫 錆喰いビスコ製作委員会

原作を知らない視聴者からすれば、キノコが実は錆に対抗できる唯一の品であることはわからない訳です。

あえて視聴者に情報を制約することで、錆の元凶とされているキノコを、ビスコが忌浜市内でヘリコプターやイミ―君相手に、打ち込む弓矢からキノコ、キノコ、またキノコと咲き狂わせ、そのせいでビルは爆発するわ、ビスコを倒すためにミサイルは打ち込まれるわ……うん、ハリウッドさながらのワンシーンなんですが、これだけ暴れたら『あぁ、コイツは悪党だ。間違いなくテロリストだ』と、『錆喰いビスコ』を知らない人には思わせる構成でしょうし、最後には猫柳ミロとビスコが一対一になってしまう状況になっているので、『え、この先どうなるの?』と思わせる引き方だったんではないでしょうか。

関所の突破シーンを、ミロと邂逅する場面まで交互に映すことで情報を制約し、先を読み難くしているんですよね。

関所の突破シーンは多分この『錆喰いビスコ』のウリの一つになるシーンですので、カットされなくてマジ良かった……最初、シーンが飛んだ時、カットしたのかよぉぉぉって叫んでしまいましたからね(照)

これは原作読んでいる方も読んでいない方も、視聴して損は無いアニメだと思いますよ、いやマジで。

何故これが深夜枠なんだ、読売テレビで放送されるから全国枠ですけど、25時59分という、かなり遅い時間帯の放送ですし……あぁもったいないort

それであれば、動画配信サービスか、あるいは録画をしておいて後日見る、という形にした方が良いかな、と個人的には思いますね。

まぁ、テレビ局としては視聴率が稼げないとマズイんでしょうが、深夜枠にしたことを恨みなさい、南無(オイ)

私のような社会人や、学生であればどう考えたって翌日に差し支え出ますからね。

エンディングテーマが流れた後は、齋藤志郎さんによる、ジャビのナレーション。

今回齋藤志郎さんの登場は、このナレーションのみなんですが、二話目、三話目辺りでジャビさんはしばらく登場しなくなるだろうから、しばらくナレーション専門になるのかなと思うとちょっと寂しい……それ言ったら、パウーもチロルもそうなんだけど(汗)

結論から言えば、貴方が錆喰いビスコに興味があるのなら、悪いことは言いません。

今すぐ見なさい、多分二話目以降はもっと面白くなる。

二話目『エリンギで跳ぶ』を楽しみに待っています。

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